「中学受験はうちの子には不要」と考える親が「大正解」である決定的な理由【池上彰の未来予測】
いつの時代も子どもは遊びを通して人間力を学ぶ
もうひとつ、池上先生が子育てに迷える私たちにおくってくれているメッセージがある。 「今の子どもたちは、2040年に向けて『人間力を生かした働き方』ができる人になるべきです。AIに仕事を奪われない人は、人間力のある人だからです。小さな頃から塾に行って知識を詰め込むよりも、友だちと外で遊ぶほうが人間力を鍛えることができます。 私の子どもの頃は、野原でいろいろな年齢の子どもたちが一緒になって遊んでいました。自然と「年齢の違う人たちに目配りをしながら、どう統率していくのか」というリーダーシップを身につける子が出てくるのです。みんなが同じ年齢だと必要のない統率力、リーダーシップが、異年齢だからこそ必要になってくるというわけです。それが結果的に、人間力や思いやりにつながります。 今はそうした機会があまりないため、保育園や幼稚園、小学校などで「縦割り」の時間が設けられ、異なる年齢の人たちとの交流が図られています。 また昔は、親が地域で活躍しているところを子どもたちも見ていました。お祭りや町内会、子ども会などの手伝いをしたり、町内でトラブルがあると仲裁をして解決に導いたり、今振り返れば、そうした親の後ろ姿を見ることも子どもにとって人間力を身につけるための勉強になっていたなと思います」
前編記事では子供にとって必要な教養と遊びについて触れました。続く【後編記事】では、中学受験の過熱による教育格差の問題により、日本に起こりうる未来の教育についてのお話を紹介します。
池上彰