立ち飲みからキャバクラまで多業種集結 大人のテーマパークめざす老舗風俗ビルの変身
大阪の歓楽街・京橋にある商業ビル「サンピアザビル」(大阪市都島区)が、築50年超を経て「大人のテーマパーク」化を模索している。かつてはキャバクラ、スナックなどが多数入居する「大人の社交場」として知られていたが、新型コロナウイルス禍で1フロア全店が撤退するなど非常事態に。だが、危機をきっかけに名店誘致を強化するなど再生に向かっている。 【写真】サンピアザビル6階を改修した屋台村「京橋S6横丁」 ■1フロアが「屋台村」に サンピアザビルは、同時期に開業した「京橋グランシャトービル」の北向かいに位置しており、昭和47年8月に建設された。地上6階地下2階建てで、1フロアは約500平方メートルもあり、京橋を代表する建物の一つ。 ビルを所有する「ケイズカンパニー」(同区)は、大阪木津卸売市場(大阪市浪速区)内の八百屋を経営。もともとはマンション建設を計画していたが、資金難からテナントビルへ方向転換したという。 パチンコ店やスナック、居酒屋、雀荘など多様な業種の約40~50店舗が入居し「大人の社交場」として半世紀以上にわたって親しまれてきた。 ところが、コロナ禍で客足が激減し、休業要請などの影響もあって、6階に入居していたキャバクラやラウンジなど6店舗がすべて撤退した。 このため令和4年に、6階を飲食フロアに転換する大規模リニューアルを実施。「京橋S6横丁」と名づけて、鉄板焼き屋や立ち飲み屋、バーなどを次々に誘致し、若年層をターゲットにした路地裏の雰囲気が懐かしい「屋台村」に変貌を遂げた。 創業者一族の3代目で、同社から業務委託を受けてビル再生などを手がける「トライウィズダム」社長、三木洸一さん(31)と取締役の太志(たいし)さん(28)兄弟は「移り変わりが激しい風俗店などと共存する大人のテーマパークを目指す」と説明する。 ■「同伴」と「アフター」ビル内で 6階に続いて、今度は地下1階、地下2階のリニューアルに着手した。「SUNPIAZZA BASEMENT HOUSE」と名づけ、来春には全面開業する予定だ。「名店が集う大人のテーマパーク」がコンセプトで、京橋S6横町と異なる。しゃぶしゃぶ専門店に加えて、6月には焼き鳥店がオープン。今秋に大阪市北区の人気フレンチレストランが進出するなど、計6店を誘致してエンターテインメント性を強化した総合レジャービルへの転換を図る。 不動産コンサルタントを専門にする洸一さんは「(キャバクラなどの)同伴やアフターまで、すべてがこのビルで対応できるようになれば面白い」と意気込む。今後はスポーツバー、アメリカンダイナーなどの誘致も進めて、若年層や外国人観光客ら幅広い世代の客層を呼び込むつもりだ。実際に誘致を呼びかけている飲食店関係者は「京橋駅前という立地の良さに興味津々の様子だった」と手応えを感じている。