「各自の避難対策を考えて」 内閣府と合同防災訓練 喜界島
鹿児島県喜界町と内閣府による防災訓練が23日、同町の坂嶺地区で行われた。奄美群島太平洋沖北部を震源とするマグニチュード8・2の地震と津波の発生を想定した訓練で、県や消防、警察、自衛隊など関係機関と地元住民が参加。情報伝達や人命救助の連携を確認した。 訓練では午前9時の地震発生から約5分後に町が災害対策本部を設置し、津波の危険性が高い坂嶺地区を対象に避難指示を発令。住民約50人が徒歩や車両で高台へ避難した。浸水被害により孤立した要救助者の搬送訓練や、陸自奄美警備隊による徒歩での物資輸送訓練なども同時並行で行われた。 避難訓練後は、同町の旧坂嶺小学校体育館で防災講話を開催。鹿児島大学共通教育センターの岩船昌起教授、気象庁名瀬測候所の阿見隆之地域防災官、喜界島ジオパーク推進協議会の駒越太郎さんが「喜界町では避難に迷っている間に津波が到達してしまう。きょうの訓練を振り返り、一人ひとりが地震時の身の守り方や津波時の避難を具体的に考えてほしい」などと呼び掛けた。 要救助者役として参加した坂嶺在住の森美晴さん(61)は「救助する側とされる側、両者の視点で課題を見つけることができた。いざというとき冷静に行動できるよう普段から意識したい」と話した。内閣府防災担当の立岩里生太参事官は「集落や住民によって避難行動は異なる。訓練時だけでなく、普段からの意識の定着を図れるよう努めたい」と話した。 同日午後には、同町川嶺の防衛省情報本部喜界島通信所でも防災訓練が行われた。町と同通信所は3月に大規模災害発生時に同通信所の一部を緊急避難所として提供する協定を締結。23日は協定締結後初の防災訓練で、自家用車で避難してきた地元住民の受け入れ、誘導などを行った。
奄美の南海日日新聞