あなたの猫チャンが、安全に天国に逝くために…獣医師がまとめた看取りのマニュアル
してあげられることはありますか?
・寝たきりになれば…床ずれが出来ないようにエアーマットなどを敷いてあげましょう。 ・ベッドはリビングなどの家族が集まるところに置くのが良いでしょう。 ・手足や肉球を優しくマッサージしてあげましょう・ ・身体を拭いたりブラッシングしてあげましょう。 ・飼い主様はいつものようにふるまって、その音を聞かせ、 においをかがせてあげてください。 ・水やだし汁などで湿らせたガーゼを口に含ませたり、口の中の粘りを綿棒で拭きとってあげましょう。 ・本ニャンが好きだったこと、気持ちが良かったことをしてあげましょう。 ・お灸で全身を温めてあげるのも良いです。 ・これまで一緒に過ごしてきてくれた感謝を伝えたり、笑顔でいろいろなことを話して聞かせましょう。
気づくと動いていないようです
・胸に手か耳を当ててみてください。心臓が規則的に動く(拍動)が触れない、聞き取れない場合、残念ながら亡くなっています。 ・これまでの全身状態が悪くなっていた場合、その時人工呼吸や心臓マッサージなどで回復できる見込みはほとんどありません。人工呼吸や心臓マッサージがかえって苦痛となることもあります。静かに見守ってあげるのが良いでしょう。
最後に
ヒトや動物は生きるために、食べて飲んではあたりまえです。でも終末期になると、その必要が無くなります。ですから本能的に身体が要求しなくなるのです。 食べなければ、聞こえは悪いですが「餓死」ということになります。ですが、これは天国へ軟着陸するために身体から余計な荷物を降ろしている行為なのです。そのために食べない・飲まないにもかかわらず、尿はどんどん出てゆき脱水が進み、まるで干物や落ち葉のように身軽になっていきます。そして、全身の臓器の機能が落ちていくので、食べない飲まない以外に呼吸もしにくい、動けない、排泄しにくいといった状態になり、脱水と酸欠も進行していきます。 飢餓や酸欠になると、動物の脳内ではモルヒネのような物質が分泌され、心地よくなると言われています。また、脱水になると意識レベルが低下してボンヤリ・ウトウトうします。呼吸がしにくいと体内の二酸化炭素が増えますが、この二酸化炭素には麻酔作用があります。ですから死ぬということは、ぼんやりしたまどろみの中で、この世から天国に移動することであり、辛くはありません。 食べれば元気になると思っておられる方もおられますが、魂の灯が消えようとしているときは、いくら食べても元気になりません。 ところが、この上手に枯れていく終末期に過量な点滴をすると、点滴を処理できずに水分過剰となり溺死状態となってしまう可能性があります。こうなればつらく苦しい状況です。点滴を処理するのは本ニャンです。弱った身体に鞭を打つようなものでしかありません。 ヒトも動物も100%亡くなります。大切なのは、その日をどうやって迎えるのか、その日までどうやって生きるのか、その日までどれだけの人間や動物を愛し愛されてきたのかだと思います。逝き方は生き方です。 ◇ ◇ 今回のマニュアルは初版的な位置づけで、今後皆様からのご質問を受けてどんどん改定していく予定です。 マニュアルは当院(キャットクリニック~犬も診ます~)のホームページにも掲載しています。必要な時にダウンロードなさってくださいませ。 ◆小宮 みぎわ 獣医師/滋賀県近江八幡市「キャットクリニック ~犬も診ます~」代表。2003年より動物病院勤務。治療が困難な病気、慢性の病気などに対して、漢方治療や分子栄養学を取り入れた治療が有効な症例を経験し、これらの治療を積極的に行うため2019年4月に開院。慢性病のひとつである循環器病に関して、学会認定医を取得。 (獣医師・小宮 みぎわ)
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