新型アストンマーティン・ヴァンテージに、ガマンは不要だ! 日本上陸した2000万円超のスーパースポーツに迫る
日本に上陸した新型アストンマーティン「ヴァンテージ」に、大谷達也が試乗した。新世代の2ドア・スポーツに迫る。 【写真を見る】新型ヴァンテージの全貌(14枚)
DB12との違い
アストンマーティン・ヴァンテージが日本上陸を果たした。 それにしても、最近のアストンマーティンはモデル攻勢がすさまじい。 私が国際試乗会に参加したタイミングでいうと、まずは「DB12」が2023年6月で、続くヴァンテージは2024年5月、そして「ヴァンキッシュ」は2024年10月だった。つまり、たった1年4カ月の間に3つのニューモデルを市場に投入したことになる。大衆車メーカーならまだしも、押しも押されもせぬラグジュアリーブランドのアストンマーティンがこんな離れ業をやってのけると、誰に予想できただろうか? さらにいえば、残る「DBX」は国際試乗会こそ催さなかったものの、先ごろマイナーな商品改良を実施したので、カタログモデルのすべてが過去18カ月以内にリニューアルされたことになる。これもまた、驚くべき事実といえる。 このうち、DB12とヴァンキッシュは搭載しているエンジン(メルセデスAMGが基本設計を行い、アストンマーティンが独自開発した4.0リッターV8ツインターボ)とギヤボックス(ZF製8AT)が共通で、フロントエンジンのトランスアクスル方式(通常はエンジンと一体で搭載されるギヤボックスを切り離し、これを後車軸上に置くことで前後の重量配分を改善するぜいたくな駆動系レイアウト)を採用している点も同じだけれど、クルマの性格を大きく左右するホイールベース(前後車軸間の距離)をそれぞれ独自に設定することで、DB12は2+2シーターの4人乗り、ヴァンテージは純2シーターの2人乗りと作り分けている。 しかも、DB12は高い快適性が求められるグランドツアラー、ヴァンテージはサーキット走行もこなすスポーツカーとクルマの目的がまるで異なっているのだから、いくら共通部分は多くても、開発に必要な手間という意味でいえば、まるまる2台を新たに作るのと大して変わらなかったことだろう。 きっと、アストンマーティンの技術者たちは、過去4年間ほど、まさに死にものぐるいで働き続けたに違いない。 こうして誕生したヴァンテージは、スペインで試乗したとき、乗り心地がハッキリと硬くて“公道で乗るにはギリギリのレベル”と、感じたことをよく覚えている。もっとも、前述のとおりヴァンテージはサーキット走行もこなすスポーツモデルなので、これも致し方ないことだ。