「巨額赤字」日野自動車、大底脱すも見えない進路、財務指標は悪化の一途、統合の行方も見えず
親会社であるトヨタ自動車が、日野と三菱ふそう統合を発表したのは2023年5月末のこと。トヨタと三菱ふそうの親会社にあたるダイムラートラックが折半出資で持ち株会社を新設し、日野と三菱ふそうを完全子会社にする。持ち株会社は日本で上場する予定だ。 発表時点では最終契約締結は2024年3月期中、統合完了は2024年中を目標としていた。しかし、日野の認証問題対応の継続などにより、2月に延期が発表されている。現状、最終契約の締結時期と統合実施時期の期限は示されていない。
宙ぶらりんとなっている状況に、統合実現を危ぶむ声も一部であがっている。当の日野は今回の決算説明会では、統合については「前向きに話が進んでいる」「議論が成熟してきている」と強調した。ただ、統合時期に関する具体的な言及はなかった。 もっとも、統合するにしろ、やめるにしろ、のんびりと構えている余裕はない。 ■自己資本比率は12.8%まで低下 認証不正による出荷停止などにより、近年、日野は販売台数を落としてきた。かつては国内の中・大型トラック市場でシェア1位だったが、現在はいすゞ自動車の後塵を拝している。
数年前から各種財務指標は悪化の一途を辿っている。 2020年3月末から2024年9月末にかけて有利子負債は2121億円から3576億円に増加。短期的な債務支払い能力を示す流動比率は116.1%から75.9%に低下し、財務健全性を示す自己資本比率は42.5%から12.8%まで悪化した。 エンジン認証に関連する損失計上は峠を越えたが、実際のキャッシュアウトはこれからとなる。追加損失の可能性もあるが、「すでに練っている」という資金繰り策はどういったものになるのか。最終的にはトヨタから支援を仰ぐことになるのか定かではない。
加えて、北米での認証問題について巨額な損失を計上しながら、具体的にどういう問題があったのか、法規制違反の有無を含めて説明がなされていない。 商用車においても電動化や自動運転などの対応に資金需要はいくらでもある。一刻も早く体制を固める必要がある。
村松 魁理 :東洋経済 記者