【40代・50代から知っておきたい!「誤嚥性肺炎」⑧】誤嚥しやすいのは餅だけじゃない⁉ 実は注意が必要な「意外な食べ物」とは…
「むせやすい」など、飲み込む力の衰えを感じたときは、喉の筋トレをしつつ、むせにくい食品で、筋肉の材料となる栄養素をとることが重要。おすすめの食品とともに、誤嚥しやすく注意が必要な食品について、耳鼻咽喉科専門医の西山耕一郎さんに教えていただいた。
喉のフレイルを防ぐために、とるべき栄養素は?
そもそも飲み込む力を維持するために、「これを食べるとよい」という栄養素はあるのだろうか? 「これを食べれば、喉の老化予防に効果的という食べ物や栄養素はありませんが、しいて言えばタンパク質をとることですね。嚥下機能を維持するには、喉仏を上下させる筋力を低下させないことがカギとなるからです。高齢者は筋肉の材料となるタンパク質が不足しがちです。肉類・魚介類・卵・乳製品などを積極的にとることを心がけ、低栄養に陥らないように1日3食きちんと食べていただきたいです」(西村先生) 女性は閉経以降、女性ホルモンの材料だったコレステロールが血液中でだぶついてコレステロール値が上がったり、体重が増えやすくなったりしがち。だからといって無理なダイエットをすると、筋肉量が減ってしまうという落とし穴が! むしろ、タンパク質多めを意識して、エネルギーと栄養素を適切に摂取することが大切だ。 「皆さんはフレイルという言葉をご存じですか? フレイルとは“健康な状態から要介護へ移行する段階”とされ、このフレイルの段階を経て、徐々に要介護状態に移行するといわれています。嚥下機能の低下は、いわば“喉の筋肉のフレイル”。そして、フレイルを引き起こす最大の原因が低栄養です。喉の筋力を維持するためにも過度なダイエットは避け、タンパク質をしっかりとって、バランスよく食べましょう」
西山先生のおすすめは卵かけご飯!
「最近むせやすい」という人に西山先生がおすすめするのは、卵かけご飯。 「卵は完全栄養食品とされ、タンパク質を手軽に補給できます。それに、卵かけご飯はとろみがついて飲み込みやすい、むせにくい。喉のフレイル予防にもってこいの食品です」 日本人の主食でもあるご飯はパサパサ&モソモソして、実は口の中でまとまりにくい食べ物。ご飯粒でむせる経験をしたことがある人も、案外多いのではないだろうか。でも、卵かけご飯にすると、適度なとろみがついて口の中でまとまりやすく、飲み込みやすくなる。 卵かけご飯は、あつあつのご飯さえあればおいしく食べられ、かつお節や納豆など好きなものをトッピングすれば、アレンジが可能。 「50代以降は若い頃と比べて食事量が減り、知らないうちに低栄養になってしまいがち。低栄養の人は、高齢者になったときに全身の筋肉が減少するサルコペニアや、要介護の一歩手前のフレイルに陥るリスクがあり、肥満ぎみの人よりも死亡率が高いのです。それに、全身の筋肉量が減ってフレイルの兆候が表れると、嚥下機能が低下することがわかっています。将来の健康寿命を維持するためにも、毎日のメニューに卵かけご飯を取り入れてください」