「小川、全然使えない」「あいつの何がいいの?」小川航基が苦しかったと語る“ジュビロ9番”時代…痛烈な批判を浴びてもブレなかった恩師との約束
第1回に引き続き、サッカー日本代表・小川航基選手(26歳)のインタビューをお届けする。堂安律や久保建英らと出場したU-20W杯でまさかの大怪我を負った天才ストライカーは、復帰以降も自身のプレーを取り戻せないでいた。期待が大きかった分、日に日に雑音は大きくなったが、それでも「一度も腐ったことはない」と言い切る。覚醒の時を迎えたストライカーの真髄に迫った〈NumberWebインタビュー全3回の2回目/第3回まで一挙公開中〉 【画像】「左膝がブチッ…」堂安も冨安も泣いた悲劇のU-20W杯“小川航基の運命を変えた大怪我”ピッチに倒れ込んだ瞬間 「コウキ~!!」オランダの子供達に大人気な小川&争奪戦になった高校時代~茶髪イケイケ期まで全部見る(50枚超) 怪我から復帰後、磐田で満足のいく出番をつかめない時間が続いた小川航基は、2019年7月にJ2水戸ホーリーホックに期限付き移籍を決断する。そこでキャリアハイとなるリーグ7得点を決めて復調の兆しを見せると、同年12月には国内組中心で構成されたEAFF E-1選手権で日本代表に初選出された。 2020年はJ2降格の憂き目にあった磐田に復帰。背番号はクラブのレジェンドである中山雅史が背負った「9番」をつけ、開幕戦から2ゴールを記録するなど明るい未来を予感させた。 しかし、目標だったJ1昇格も二桁ゴールも果たせず。すると、プロ6年目の2021年はシーズン22得点を叩き出したルキアンとのポジション争いに敗れ、リーグ戦のスタメン出場はわずか1試合にとどまった。ベンチ外を経験する試合も多く、終わってみればネットを揺らしたのは1回のみ。当然、東京五輪のメンバーからも落選した。 壁にぶち当たってしまった時に、安易に逃げ道を探してしまう選手は多くいる。それでも小川は「腐ってしまうような時期はまったくなかった」と当時を振り返る。 筆者は“本音”を引き出そうと質問を続けた。
「2021年は本当につらい時期でした」
――ただ、小川選手の場合はその“時間”が長かった。新人時代の1、2年の話ではない。「もういいや」となってもおかしくなかったのでは? 「確かにジュビロでの最初の4年間もそうですし、戻ってきてからも、2021年はいま振り返ってみても本当につらい時期でしたね。前半で交代させられた開幕戦以降、そこからはずっと終盤での出場が続いていました。だから『どうでもいいや』ってなる選手の気持ち、感情は物凄く分かります。何かプチッと音がして切れちゃうような、怒りやら悔しさやらで、どうでもよくなる瞬間って、人間だから必ず誰しもがあると思うんです。でも、そこでこれまでやってきたことをやめちゃうのではなく、それをエネルギーやパワーに変えられるのが自分の強みだと、今になって思いますね」 ――結果が出ていない、実感がない中で自分を信じ抜くことができたのはなぜでしょう。 「ずっと『なんで俺を使わないんだろう』『使えば点を取るのに』とは、思っていて。でも、それを不満として表に出すのではなく、監督に『あいつを使ってみたい』と思わせるためには何をすべきかと考えていました。ルキアンに対しても、パワーでは敵わないから自分は自分の武器で勝負しようとか。 それにジュビロには素晴らしい先輩たちがいて、その人たちの背中を見てきたことは大きかったと思います。試合に出られていない選手が日々やるべきことをきちんとやって、いざチャンスをもらった時にパフォーマンスを発揮している姿を見て、こういうことをやり続けないと大きなチャンスが来た時に掴めないんだなと。もちろん、腐ってしまう選手もいましたし、両方のパターンがいる中で、僕は前者の背中を見続けました。そこが今につながっていると思います」 ―― 一度も度も投げ出すことをしなかったからこそ、今があると。 「どうしても、世間が僕に対して思っていることと、自分が思っていることのギャップが相当あると思う。実際に周りからいろいろ言われることはありましたが、僕は自分を信じ続けることをやめませんでした」
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