江戸時代の老親介護「担い手は男性メイン」だった納得の理由
老親介護の担い手として「男性(実子・養子・継子)」が半数以上に上り、「女性(娘・養女・嫁)」の割合を大きく上回っています。特に家が貧しくて息子が未婚の場合、息子が看る場合も多かったようで、「男性(実子・養子・継子)」の介護事例のうち13件は、親の介護のために40過ぎまで独身を強いられたり、孝行のためにあえて妻帯しなかったケースでした。 ちなみに内閣府『令和3年版高齢社会白書』によると、現代人が同居の高齢者を介護する場合、息子や養子など男性の割合は35%、娘や息子の配偶者など女性の割合は65%です。『仙台孝義録』の調査結果と現代では、介護の担い手となる性別の割合が大きく違っています。現代では、親に対する愛情の大きい子供が自発的に老親介護を担う事例も多いようですが、当時は家規範・男性優位の価値観が特に強く持たれていた時代です。
「孝行」の担い手となることも含め、何事も矢面に立って責任を持つのが男子とされており、老親介護においても同様だったとも考えられます。
﨑井 将之