【大井・東京大賞典】3歳馬6年ぶりV! フォーエバーヤング“国内無敵”5戦5勝
国内に敵はなし。24年ダート競馬の総決算「第70回東京大賞典」が29日、大井競馬場で行われた。フォーエバーヤングが単勝1・3倍の1番人気に応えて優勝。重賞は6勝目で、国内ではこれで5戦5勝。3歳馬の優勝は6年ぶりとなった。大井にルーツを持つ矢作芳人師(63)、坂井瑠星(27)の“師弟コンビ”は共にうれしい東京大賞典初制覇となった。 今までで最も苦しい勝利だったかもしれない。レース後、超満員となったスタンドから大喝采を受けるフォーエバーヤング。しかし、荒く激しい息遣いが激戦ぶりを物語る。矢作師は「海外帰りの検疫で緩んで8分くらいの出来。その状態で勝てた。改めて“強いな”と」。強烈な西日に照らされたのは、芯からにじみ出る強さだった。 米国仕込みの先行策。この日も出し抜くつもりなど毛頭ないストロングスタイルだ。だが、いつもと様子が違ったのは3~4角。軽やかに逃げるクラウンプライド、後ろで機をうかがうウシュバテソーロより明らかに手応えは劣勢だ。しかし、坂井の鼓舞に応えて力強く前進。歯を食いしばり、ラストはウィルソンテソーロを1馬身3/4振り切った。国内初対戦の古馬たちを撃破しての勝利に、坂井は「負けないとは思ったがあのあたり(3~4角)が本調子じゃなかったということでしょう。世界一を目指しているので、日本では負けられないと思っていた」と安心した様子だった。 ともに大井の調教師を父にもつ矢作師と坂井にとっては特別な東京大賞典初勝利となった。矢作師は「本当に感慨深い。このレースを勝つのは僕の人生にとっても大きな意味を持つ」と目を細めた。オーナーの藤田晋氏は「凄い人気だったので負けたらどうしようと思っていた」とホッとした面持ちでスタンドを見つめた。 来春はサウジC(2月22日、キングアブドゥルアジーズ)とドバイワールドC(4月5日、メイダン)が目標。超高額賞金を求める世界の強豪たちが集う戦い。矢作師は「来年は世界のトップに立たなければならない馬。一戦ごとに強くなっているし、その手応えはある」と力強い。3歳馬として国内外のビッグレース6戦を戦い抜いたフォーエバーヤング。苦しみながらつかんだ暮れの大一番は、きっと来年への糧となる。 ◆フォーエバーヤング 父リアルスティール 母フォエヴァーダーリング(母の父コングラッツ) 牡3歳 栗東・矢作芳人厩舎 馬主・藤田晋氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績9戦7勝(南関東3戦3勝) 総獲得賞金6億2326万2000円。