【F1分析】角田裕毅擁するRB、マシンのパフォーマンスが低下した前半戦終盤の”6ポイント”が、大きな意味を持つことになるかも?
■決勝パフォーマンスは低迷も、遅かったわけではない?
ところでこちらのグラフは、レースのみのパフォーマンス推移をグラフ化したものである。レース中のパフォーマンスは、数値化するのが実に難しい。このグラフは、予選と同じ抽出方法でパフォーマンスを数値化したものだが、最後のタイヤ交換が遅ければ遅いほど速いと算出されてしまうことになる。またレースでは、絶対的なペースよりもタイヤのデグラデーション(性能劣化)傾向がどうなっているかという方が重要度は高い。なのであくまで参考としてご覧いただきたい。 このレースパフォーマンスの推移グラフを見ると、RBは非常に低調なのが分かる。トップと1%差以内なのはマイアミとモナコの2戦のみ、それ以外は1.5%以上の遅れである。1周のラップタイムが90秒のサーキットならば、1周あたり1.35秒以上遅れてしまう計算だ。しかも相対的な順位でも、日本とスペイン、そしてオーストリアは最下位……モナコ以外はすべて7番手以下だ。 ただそれでもこれだけポイントを積み重ねてきたということは、RBがレースで遅いということを表しているわけではなく、しっかりと状況を把握し、前に出られたくないマシンを抑え込む戦略を採ってきた証と言えるかもしれない。 角田の事例を見てみると、オーストラリアではウイリアムズやハースを警戒した戦略を採った。鈴鹿ではペースを落として後続のストロールを抑え込み、ストロールがこれに対抗するためにピットインすると、角田は一転ペースを上げて逃げ切る走りを見せた。それ以外のレースでも、後続を抑えたり、タイヤをマネジメントする走りに徹したりすることが多かった。そのため、レース中のパフォーマンスがいい数字にはならなかっただけである。 これはつまり、角田が自分のペースをしっかりとコントロールすることができ、さらにチームも周囲の状況をしっかりと見極めた戦略を立案し角田の指示した結果だと言うことができるだろう。 さてオランダから始まる後半戦。RBはどんな活躍を見せてくれるだろうか? 角田はひとつ前を行くアストンマーティンを打倒することを目指している。
田中健一