なぜ「雷神番外地」で平本蓮軍は"番狂わせ”の金星を提供し続けて朝倉未来軍に3勝4敗で敗れたのか?
勝負論があるとされていた第3試合は朝久がしっかりと勝利した。 しかし、続く第4試合ではサッカー界のレジェンド、FW三浦知良(57、アトレチコ鈴鹿)の次男、孝太(22、BRAVE)がMMAデビュー戦だった冨澤大智(27、フリー)のカウンターからの膝蹴り一発で失神し、1ラウンド1分53秒で衝撃的なKO負けを喫してしまった。 悪夢の3連敗に悔し涙を流した孝太は、記憶も曖昧となった状態で臨んだインタビュールームでも思わず声を震わせている。 「子どもの頃から格闘技を真剣にやってきった選手の方々にいま、力の差を見せつけられている感じがしていますし、いまは自分的にはこの舞台に立つのもふさわしくないんじゃないか、とも思っていた。そもそもデビューできたのも親(カズ)のおかげという部分もあるし、デビュー戦で結果を出してからは、知名度といったものがどんどん先行してしまって。自分が出場する理由を親以外で何とか作りたいと思って最近は活動してきましたけど、こういう結果が起こっちゃうと……」 冨澤は、昨年の大晦日に篠塚に完敗するなど決してトップクラスのファイターではない。負けたもののYA-MANや皇治という実力者と戦ってきた三浦の方が、総合的なレベルは高いとされていた。それだけに今後の格闘家としての進退にさえ言及するほどのショッキングな敗戦だったのだろう。油断と実戦から遠ざかっていた試合勘の無さが影響した。 第5試合は篠塚が順当に勝利し、第6試合は、ボクシングの高校6冠の下地のある宇佐美正パトリック(24、Battle-Box)がともにTKOで勝利したが、大トリの大将戦で安保が、16kgの体重差を跳ねのけて勝利した。
今大会で元WBC世界ライト級暫定王者のライアン・ガルシア(26、アメリカ)と対戦する予定だった安保は、ガルシアの故障による出場辞退で一時は宙に浮いた状況から、朝倉軍の“大将”として参戦。体格差のあるカリミアンとのボクシングマッチを、軽快なフットワークを駆使して完勝した。 もっとも、最終第6ラウンドではK-1界最強のヒールとして知られるカリミアンが、反則技であるバックハンドブローを連発。これに安保も同じバックハンドブローで応酬し、さらに仲裁に入ったレフェリーをカリミアンが誤って殴って暴走する場面もあった。 安保に追い詰められた末に出したわけではないのかと、意図を問う質問に対して、カリミアンはやや語気を強めながら反則について弁明している。 「これは戦いです。そのなかで自然と出てきたものであり、別に狙ってやっていたわけではありません。みなさんも間違いを犯しますよね。それと同じです。いずれにしても(安保の)パンチは効きませんでした。もともと(パンチ力は)弱いと思っていたし、別にガードをしなくても大丈夫だと思っていました」 これが強がりだったのは、安保の証言が如実に物語っている。 「効いたパンチが3発はありました。映像で彼の足元を見てください。足がふらふらしていましたから。あそこで倒し切れたら『安保、カッコいい』となったんですけど」 さらに、電撃発表された朝倉と平本の再戦決定に、安保はこう言及した。 「日本の格闘技界のために、絶対に未来さんに勝ってくれ、という気持ちがある」 安保はギリギリまで平本とSNSでバトルを繰り広げていた。共にK-1出身だが、敵対視する平本ではなく、今回も誘ってくれた朝倉側に立つにも当然だろう。 結果として朝倉と平本の代理戦争であり、5.4東京ドームでの「THE MATCH2」の前哨戦となった「雷神番外地」は、朝倉軍に軍配があがった。リング上では、安保が「未来さん、僕にサポートできることがあれば何でもやります!」と絶叫していた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)
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