【RIZIN】訳されなかった言葉──王者クレベル・コイケがポルトガル語で語った本音「『平本vs.未来2』はくだらない」「チャンピオンベルトはたったひとつ。なぜ、あんなLMSベルトが作られたと思う?」
2024年12月31日(火)さいたまスーパーアリーナ『RIZIN.49』メインイベントの「RIZINフェザー級(66.0kg)タイトルマッチ」で、クレベル・コイケ(ボンサイ柔術)が、鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)を判定3-0で破り、王座を奪還した。 【写真】引き込みからスイープして鈴木をコントロールしたクレベル 両者は2023年6月24日『RIZIN.43』北海道大会で対戦も、当時の王者クレベルが前日計量で400g超過し王座剥奪。クレベルが1Rに腕十字を極めたが、試合記録はノーコンテストとなり、王座は空位に。 その後、鈴木はアゼルバイジャン大会で、当時のフェザー級王者ヴガール・ケラモフを1R KOに下し、戴冠。2024年4月『RIZIN.46』で金原正徳を1R TKOに下し、初防衛に成功している。 元王者クレベルは、鈴木戦後、2023年9月の『RIZIN.44』で金原正徳に判定負けも、2023年大晦日の『RIZIN.45』で斎藤裕にダースチョークで一本勝ち。2024年6月の『RIZIN.47』でフアン・アーチュレッタを1R ヒールフックに極めて2連勝。今回の王座挑戦を決めていた。 試合は、カーフを蹴りながらも掴まれないように間合いを保ち打ち込む鈴木に対し、クレベルは懐深い構えから組んで引き込み、スイープ。鈴木はマウント三角絞めを防ぎながらもコントロールされる我慢の展開のなか、最終ラウンドにガードの中からヒジで出血を誘うが、クレベルが下から三角十字でポジションを入れ替え、マウント&パウンド。決定的なシーンを作りゴング。王座が移動した。 試合後、クレベルは個別インタビューで新年の挨拶を日本語で語ると、以降をよりニュアンスを伝えるために、ポルトガル語でインタビューに応じた。逐次通訳のため、公式ではその場で通訳し切れなかった部分もあらためて本誌で日本語訳し、ここに紹介したい。 ◆クレベル「自分の心を折ることはできないと確信していた」 「みんな、まずはハッピーニューイヤー! はぁー、疲れた!」 ──再びベルトを手にしました。試合後の率直な感想を。 「嬉しいなあ、1年半、待ってましたから。チャンピオンに戻れて嬉しいです」 ──再戦となった鈴木千裕選手のファイターとしての感想を教えてください。 「まず、みなさん、今日は私は通訳さんを通して、ちょっと長いけどポルトガル語で話します、そのほうがもっとコミュニケーションできるから。質問への答えは、2回目の試合でしたので経験を積んで自信を持って臨んで来るのは自分でも分かっていました。彼は自分のポジションをとてもうまくディフェンスしてきましたが、タフファイトになるということも分かっていました。それは想像していたことです」 ──今回、激闘となりました。その感想も教えてください。 「今日もし自分が負けるとしたら、自分自身に負けるだけと思っていました。もちろん試合前から難しい試合になるとは分かっていました。彼はタフガイだし、彼は自分と最後に試合してから今日までの試合ですごく自信をつけているから、フェイスオフでもとてもそれを感じました。彼を”ブンダモーリー”=弱虫と呼んだけどそんなことなかったです。勝利のなかで自信をつけ、タフファイトを仕掛けてきた。今回自分はよく準備できていたのですが、完璧なスタイルは出せなかったかもしれない。フィジカルな面でベターな状態とは言えなかったので準備できなかったかもしれないけど、メンタルでは強く行ったので、メンタルでは絶対負けないと思っていました。彼に自分の心を折ることはできないと確信していました」 ──チャンピオンとして今年の目標を教えてください。 「このベルトを防衛することです。一度も今までやったことがなくて、そのチャンスが来ると失敗してきたので。去年の目標はこのベルトを奪還することでしたが、今年の目標はそれを維持することです」 ◆もしRIZINがケラモフ戦を実現させるというならやってやる ──次の試合について伺います。先ほどケラモフ選手が、クレベル選手と「5月に試合する約束をした」と言っていたのですが。 「えー、約束というわけではないけど、彼とそのような話はさっきしました。タイトルを狙っているということで、自分は了承しましたが、自分は今チャンピオンなので、次、誰とやるかはRIZINが決めるので、私が選べるものではありません。RIZINは彼にチャンスを与えるのではないでしょうか。ただ、彼は待ちたくなかったからサトシ選手と試合をしたのだと思いますが、それが結果として彼にとって悪い選択だったと思います。 でもまあ自分は、相手が誰であれ戦うし、ベルトを防衛します。5月はそれには準備期間もあり、いいタイミングだと思っています。そしてケラモフとの試合はいい試合になるでしょう。自分は現在もですが彼の前に王者で、それから彼もその後王者になっている。ファンもそうですし、みんなが見たい試合なのではないかと思います。もしRIZINがそれを実現させるというならやってやります」 ──5月ということについては、『THE MATCH 2』に出場する意志があるということだと思いますが、朝倉未来選手の復帰についてはどう思いますか。 「“くだらない”と思っています。その試合のことを。自分は(平本)蓮のことが好きじゃないし、朝倉(未来)のことも別にそんなに好きではないということもありませんが、自分にとっては両方とも敵。(彼らが争ったLMSベルトは)フェイクのチャンピオンベルトだと思っています。ベルトは二つ存在しない。(自分が肩にかけたベルトを示しながら)チャンピオンベルトは、たったひとつ。なぜ、あんなベルトが作られたと思います? 彼らみたいな、できない奴らのため。本物のチャンピオンにはなれないから。二人のどちらにせよ(本物のベルトに挑む)勇気がもしあるなら、俺に挑戦させてみればいい。ブッ飛ばしてやるよ。それが真実。 まあ、格闘技興行なので、おふざけもあれば、お金も絡んでくるし、それもゲームの一部というか、エンターテインメントという枠で見ることはできますが、自分はその試合を“くだらない”と思っています。とにかく本物のチャンピオンはここにいる。そしてみんな、それを分かっている」 ──前回、初めてチャンピオンになったときと今回では、どちらのほうが嬉しいですか? その理由も教えてください。 「ありがとうございます、とてもいい質問だと思います。自分が勝ったとき、というのは誰も自分のことを知らなかった。誰も自分のことを信じてなかった。摩嶋(一整)と朝倉(未来)に勝った。それは勝つと思われていなかった試合であり、相手を勝たせるための試合だったとも言えます。私は、それを知っている。でも、自分がショウを奪い去った。今年(2024年)は、違う。神の導く軌道に戻ったから。今年は神様が自分を祝福してくれた年です。たくさんの恵みがもたらされた年です。夢を叶えました。まず自分のジムをオープンしました、そして自分の最大の夢である、息子を持つということ、それが叶いました。 2024年は自分にとって特別な年で、チャンピオンになる必要があった、この繁栄の年としての締めくくりのために。自分は神様と約束したんです──約束ではないな、自分から立てたもので約束じゃないんですけど、どう言ったらいいか。神との取引、契約のようなものを自分から課しました。自分の身を、自分にあるものを捧げ、自分ができることを全てやりきる。 35歳になって、とても難しい年齢でした。というのは、たくさんの疑問が自分のなかで沸いてくる年だったんです。年齢としてはまだ若いけど、長く戦い続けるにはとてもしんどくて、とてもプレッシャーがある。自分自身ずっといつもトップで戦い続けなくてはいけないということは。毎日ベストでいなくてはいけないとか、常に毎日ジャッジされ続けていて、“いつまでやれるのか”と疲れ果てる。たくさんのことを実現することができた年でありつつも、とても辛い年でもありました。 そのなかで自分が人間としていろんな面で成長しなくてはいけない年となった。ジムをオープンし、息子が生まれ、街を引っ越したり、色々なことはあったけど、とても勉強することが多く学びの多い一年でした。だから、今年はとても特別な年だったと思います。それで、あなたの質問に答えるなら、今年が特別だった、そういう答えになると思います」
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