東大生はなぜミステリー小説を書く? 在学中の作家「授業から着想を得ることも…」
東京大学出身の若手ミステリー作家が注目されています。『元彼の遺言状』の新川帆立さん、『サクラサク、サクラチル』の辻堂ゆめさん、『#真相をお話しします』の結城真一郎さんなど東大卒の作家が誕生しています。KADOKAWAの新人文学賞「第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」(2024年4月発表)では、東大在学中の浅野皓生さんが優秀賞を受賞しました。なぜ東大生はミステリー小説を書くのでしょうか。浅野さんに話を聞きました。 【写真】東大卒のミステリー作家らによる書き下ろしミステリー
23年発行の『東大に名探偵はいない』(KADOKAWA)は、東大卒のミステリー作家5人(市川憂人、伊与原新、新川帆立、辻堂ゆめ、結城真一郎)と東大在学中の浅野皓生さんによるアンソロジーです。収録されているのはすべて書き下ろしの短編ミステリーで、共通するテーマは「東大」。実体験に基づいていると思われるキャンパスライフなど、東大生のリアルな生活ものぞけるような内容です。 浅野さんは現在、法学部4年生。昨年、米国のプリンストン大学に留学したため、1年留年しています。3年次に東京大学新聞社とKADOKAWAが共同開催した「東大生ミステリ小説コンテスト」で大賞を受賞し、受賞作「テミスの逡巡」が前出の『東大に名探偵はいない』に収録されました。 「東大生ミステリ小説コンテストは応募資格が在学中の東大生に限られているので、『ワンチャンあるかも』と打算的な考えがあり(笑)、奮起して1カ月弱で書き上げました。受賞を知ったときは、まさかとビビりました」(浅野さん、以下同) 中学生のときからミステリー小説のコンテストに応募していたという浅野さん。本好きになったきっかけは、中1の4月に読んだ宮部みゆきのミステリー小説『火車』でした。 「母にすすめられて、初めて読んだ大人向けの小説でした。そこから宮部さんの現代モノの小説はほぼ読み尽くし、自分でもミステリー小説を書くようになりました」