貯蓄が「1000万円」あるので定年後は働かなくてよいかと考えています。老後は年金もあるので貯金を崩すときは「大きな出費」があるときだけですよね…?
老後のために貯蓄をしていて1000万円があれば、定年後は働かないでのんびり暮らせるでしょうか。生活費は年金で賄い、何か大きな出費があるときは貯金を崩せばいいと考えるかもしれません。 そこで今回は、一般的な老後の生活費や定年後にかかる可能性のある大きな出費について調べてみました。人生100年といわれる昨今、長く続く老後を安心して過ごせるように、一般的なケースと自身の生活を比較しながら、将来に備えることは大切です。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
老後生活は年金だけで賄えない!? 一般的な家計収支では不足が発生する
「貯蓄が1000万円あれば老後生活は安心」と考える方もいるでしょう。しかし生活費を年金で賄えなければ、貯金はどんどんと減ってしまうことになります。一般的には、定年後に仕事をしないで生活する家庭の家計収支はマイナスになるとされています。 例えば総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯で、単身者であれば毎月の家計収支に3万768円、夫婦二人であれば3万7916円の不足分が生じるとのことです。仮に定年後の老後人生が30年間続くとすると、家計収支の不足分は単身者で1107万6480円、夫婦二人であれば1364万9760円です。 同調査はあくまでも平均的な家計収支で、実際は各家庭によって異なるでしょう。しかし一般的に考えて、普通に生活するだけでも年金だけでは不足分が生じ、それを補うために貯蓄が1000万円あっても足りなくなる可能性は十分に考えられるでしょう。
定年後にかかるかもしれない大きな出費
節約するなどして、毎月の家計収支がマイナスにならないようにできたとしても、生活費以外にかかるかもしれない大きな出費にも備える必要があります。大きな出費としては、以下のようなものが考えられるでしょう。 ■リフォーム費用 持ち家の場合は、住宅リフォームで大きな出費が考えられます。一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が公表している「2023年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 結果報告書」によると、リフォーム実施者の予算は平均266万円で、実際にかかった費用は平均348万円であるとのことです。 リフォームといっても、トイレや浴室の改修から耐震化、バリアフリーなど幅広く、場合によっては平均値よりも高くなってしまうケースもあるでしょう。 ■介護費用 自身が定年退職をした後に介護が必要になるケースも考えられます。公益財団法人生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」によると、介護に要した費用のうち、住宅改造や介護用ベッドの購入などで一時的にかかった費用の合計額は平均で47万円であったとのことです。 介護費用の月額平均は9万円で、平均介護期間は55ヶ月(4年7ヶ月)であり、これらを合計すると542万円かかることが分かります。 ■そのほかの出費 現役時代にボーナスからねん出していた支出項目も、老後生活では大きな負担になる可能性があります。例えば車を維持していれば、車検や自動車税などがかかります。家電の買い替えや旅行で貯金を取り崩さなければならないときもあるでしょう。 子どもがまだ学生であれば教育費、子どもが家を出ているとしても、孫がいれば入学式などイベントごとに出費が発生します。