友人が「電気代の節約になるから」と、休日はイオンモールに入り浸っているようです。交通費や食費も考えると「赤字」になると思うのですが、実際のところどうなのでしょうか…?
物価の高騰に加え、連日のように猛暑が続いた今年の夏。自宅で快適に過ごすにも電気代がかかるので、少しでも節約したいと思う人も多いのではないでしょうか。 電気代を1円でも節約するために、近所のイオンモールに行って1日過ごした場合、どれくらい節約になるのでしょうか。本記事でシミュレーションしてみます。 ▼エアコンを「24時間」つけっぱなしだと、電気代はいくらかかる? 1ヶ月の電気代を試算
「イオンモールに1日いたら迷惑では」に対する回答
そもそもの話ではありますが、イオンモールに長時間滞在していたら迷惑ではと思う人も少なくないでしょう。結論からいえば、一概にノーとは言えません。その理由を2つの視点から見ていきます。 ■クールシェアの取り組み イオンモールをはじめとした自宅以外で涼む、という取り組みは10年以上前から「クールシェア」という名称で行われています。2011年、東日本大震災直後の多摩美術大学のゼミで生まれたこの取り組みは、2012年に環境省の施策として取り入れられました。 エネルギー不足による電力需要の上昇を少しでも抑えるために、涼しい場所を「みんなでシェアする」ことを目的として行われています。その中に「施設でクールシェア」などの取り組みがあり、今回のテーマはこれに該当するといえます。 ■イオンモール自体も積極的に推している 大型ショッピングモールを展開するイオンモールでは、毎年6~9月にかけて「イオンモールでクールシェア」と題した取り組みを行っています。自宅のエアコンをいったんオフにして、冷房の効いたモールに来てください、というメッセージが込められています。 イオンモール内で「ウォーキング」という案内を見たことがある人もいるかと思いますが、猛暑の中で歩くと熱中症のリスクもありますから、涼しい屋内で運動してください、という意味合いもあると読み取れます。ただ施設に来るだけでなく、何らかの形で売り上げにつながるような施策をテナント含めて展開しています。
家で過ごすのとイオンモールで過ごすの、どれくらいの費用になるの?
今回の質問のように、イオンモールに1日中いたらお金がかかるのではと思う人もいるでしょう。実際に自宅にいる場合とイオンモールにいる場合のシミュレーションをしてみましょう。 ■日中7時間使った場合のエアコン代 平日10~17時までイオンモールに滞在している間、自宅のエアコンはオフにしていると仮定します。ダイキン工業によると、日中クーラーをつけたままにした場合の電力消費は1時間あたり0.37キロワットアワーとのこと。7時間で2.59キロワットアワー分の電気代が浮く計算です。 東京電力のスタンダードプランの120キロワットアワー以内の電気代は1キロワットアワーあたり29.80円。ここから計算すると77.182円の電気代がかかる計算です。イオンモールに行くことで、この費用を浮かすことができます。 ■イオンモールまでの交通費を算出してみる イオンモールに行くまでにかかるコストとして「交通費」があります。歩くか自転車で行くのならゼロ円で済みますが、電車や車を使った場合はその分費用がかかります。 電車で1駅だったとしたら300円程度、1リットルあたりの燃費が20キロメートルの車で片道5キロメートル移動したとしたら80円程度(1リットル160円の場合)かかります。この時点でイオンモールに行くと赤字ということになってしまいます。 ■見えないコストも発生 朝から夕方までイオンモールに滞在するということは、昼食代も考慮しなければなりません。自宅にいてもイオンモールにいても、食事は取る必要があります。食べるメニューによっては高額になる可能性もあります。 イオンのスーパーでお弁当を買った場合、少なく見積もっても500円程度かかるでしょうし、フードコートやレストランに行ったら1000円は超えてしまう可能性があります。こういったコスト面も考えなければならないでしょう。
余暇の過ごし方は人それぞれだが、見えにくいコストも考慮しよう
ずっと自宅にいると退屈なこともあるでしょうから、たまには気晴らしのためにイオンモールに行く、という選択は悪くはないでしょう。 しかし、交通費や食費などかかってしまうコストもありますから、節約目的だけでイオンモールに行くというのは短略的な考えになってしまう可能性もあります。どれくらい節約できるか、またどれくらいお金がかかるかを考えたうえで、楽しく過ごしてください。 出典 クールシェア事務局 クールシェアとは ダイキン工業 mission5-1 夏のエアコンつけっぱなし検証! 東京電力エナジーパートナー 関東エリア スタンダードプラン 執筆者:宇野源一 AFP
ファイナンシャルフィールド編集部