日本で生きづらかった女性が「人はなぜ生きるのか」を探求すべくフィリピン・カオハガン島へ 自然×人の唯一無二の体験とは
カオハガンとの出会い
高校は公立の女子校に進み、自由を重んじてくれる方針でのびのびと過ごせた。将来は世界へ出ていくことを見越して、茶道部や国際文化交流部にも所属した。佑子さんは夢への階段を一歩ずつ上がり、京都大学農学部の食糧環境経済学科に進学することとなる。 「農業は人が生きていく土台だと思っていて。そこが理解できれば、世界がどう回っているか、世界の仕組みがわかると思ったんです」 念願の場所に立てた佑子さんだったが、ここで異文化に触れたような感覚になった。 「京都大学で出会った人たちは、目のつけどころや物事の深め方がユニークなひとが多くて。私なんて努力しても到達できない、と感じました。ある種の挫折ですね。彼らは自分の心から湧いてくる興味や関心が原動力になっているんです。鋭い視点で物事の真理を学んでいたのだと思います」 このような環境で過ごすうち、佑子さんは自分の関心に目をむけ始め、今後の人生のテーマを見つけた。 「人はなぜ生きるのか、そのことを探求したくなりました。小さな頃から、世間体を気にしたり、ありのままじゃない自分で生きてきた感覚だったので。自分を取り繕うのではなく、どう命を全うして生きるかを考え始めました」 この時、自分の殻を破り、一歩踏み出そうと目標が持てたという。しかし、就職活動の時に再び先が見えない状態となった。 「就職活動って、自分を演じなければいけないという違和感を強く感じて。マニュアルを読んで、会社にとって自分がどう役立つかを考える。同じ服装をして、短い面接時間で私の何がわかるのかって」 佑子さんは強めの口調で心の引っ掛かりを明かした。そのような悶々とした日々のなか、大学の生協で「テーマある旅」というパンフレットを見つけた。そのなかにあった一つがカオハガン島のツアーだ。以前、叔父と叔母が獣医のボランティアに行った話を聞いたこともあり、この時初めて佑子さんのアンテナにひっかかった。