人気予備校講師が「この本、むっちゃ面白いから毎日気晴らしに少しずつ読んでるんだけど、一番驚くのが700ページ超で本体2000円。今の時代にこれは価格破壊なのでは?」と投稿しSNSで大反響となった一冊とは?
生き物たちは、驚くほど人間に似ている。 ネズミは水に濡れた仲間を助けるために出かけるし、アリは女王のためには自爆をいとわないし、ゾウは亡くなった家族の死を悼む。あまりよくない面でいえば、バッタは危機的な飢餓状況になると仲間…といったように、どこか私たちの姿をみているようだ。 ウォール・ストリート・ジャーナル、ガーディアン、サンデータイムズ、各紙で絶賛されているのが『動物のひみつ』(アシュリー・ウォード著、夏目大訳)だ。シドニー大学の「動物行動学」の教授でアフリカから南極まで世界中を旅する著者が、動物たちのさまざまな生態とその背景にある「社会性」に迫りながら、彼らの知られざる行動、自然の偉大な驚異の数々を紹介する。 「オキアミからチンパンジーまで動物たちの多彩で不思議な社会から人間社会の本質を照射する。はっとする発見が随所にある」山極壽一氏(霊長類学者・人類学者)、「アリ、ミツバチ、ゴキブリ(! )から鳥、哺乳類まで、生き物の社会性が活き活きと語られてめちゃくちゃ面白い。……が、人間社会も同じだと気づいてちょっと怖くなる」橘玲氏(作家)と絶賛されている。 今回は、SNSで本書を取り上げた投稿が大きな反響を呼んだ大手予備校の人気英語講師田中健一氏にその経緯や反響、本書の楽しみ方についてインタビューした。
バズった投稿
――田中先生は大手予備校の英語科講師ですけど、最近はX(旧Twitter)(アカウント:@TNK_KNCH)で英語以外の本の紹介がバズっていますね。 田中健一氏(以下、田中):そうなんですよ。物理や化学、世界史や哲学の本を紹介したのが広く拡散されました。欲を言えば自著の紹介も同じくらいバズってくれるといいのですが。 ――そして今回は『動物のひみつ』を紹介していただきありがとうございました。 田中:この本はすごいですよね。いや、本当に。最初に手に取ったとき、分厚さから直感的に『4千円くらいかな?』って思ったんですけど、まさかの2千円(本体価格)で『えっ? 安っ!』と声が出てしまいました。 それをTwitterに、私は頑なにXとは呼びませんが、「この本、むっちゃ面白いから毎日気晴らしに少しずつ読んでるんだけど、一番驚くのが700ページ超で本体2000円。今の時代にこれは価格破壊なのでは?」と投稿したところ皆さんに拡散していただけました。 いま私は学習参考書の新刊原稿に追われているのですが、その休憩というか息抜きに読ませてもらっています。