アゼル機墜落から1週間、原因解明・証拠隠滅の有無焦点に 調査結果がゆがむ懸念も
カザフスタン西部アクタウ近郊で起きたアゼルバイジャン航空機の墜落は1月1日に発生から1週間を迎える。この間、同機はロシア軍の防空ミサイルの誤射で墜落したとの観測が支配的になった。ロシアが誤射の証拠隠滅を図ろうとした疑惑も指摘された。カザフ政府などが墜落原因の調査を進めるが、調査にはロシアも加わっており、どのような結論が示されるか予断を許さない状況だ。 ■鳥と衝突し操縦不能との暫定的な見方 墜落は12月25日に発生した。アゼルバイジャンから露南部グロズヌイに向かっていた同機は露上空で「鳥と衝突し、操縦不能になった」と報告。カスピ海対岸のアクタウに向かったが墜落した。機長を含むアゼルバイジャン人とロシア人、カザフ人計38人が死亡した。 アゼルバイジャン航空や露航空当局は当初、鳥との衝突が墜落原因になった可能性があるとの暫定的な見方を示した。 しかし、機体に弾痕のような無数の穴が残っていた上、生存者も「爆発音を聞いた」と証言。グロズヌイ周辺では当時、露軍がウクライナ軍のドローン(無人機)に対する防空活動を行っていたことから、同機は防空ミサイルで誤射されたとの観測が強まった。機長はミサイルが機体付近で爆発した衝撃を鳥の衝突と誤認した可能性がある。 アゼルバイジャンのアリエフ大統領は29日、露軍による誤射という「事実が確立されつつある」と述べ、ロシアは罪を認めるべきだと訴えた。 ■両者の主張に食い違い 今回の墜落を巡り、欧州メディアは26日、アゼルバイジャン政府筋が「機体トラブルにより機長はグロズヌイとは別の露国内空港への緊急着陸を求めたが、ロシアが拒否し、アクタウへの飛行を命じた」と話したと報じた。一部メディアは「ロシアは誤射の証拠を消すため同機をカスピ海に墜落させようと考えた」との疑いを示した。 一方、露航空当局高官は27日、「ロシアは別の国内空港への着陸を提案したが、機長がアクタウに向かうと決めた」と主張。両者の主張が食い違っており、墜落原因に加え、この点も真相解明されるかが注目される。 誤射の可能性には言及せず