テクノロジーで家族の時間をつくり出す。ファミリーコンシェルジュ・Yohana代表 松岡陽子インタビュー
「5年、パッションを持ち続けられるか」で未来を選ぶ
──創業から約2年半が経過しましたが、事業の局面で困難はありましたか。 2つ例を挙げると、まず1つ目はプロダクトに関することです。 開発中はまだお客様が使っていないので、想像しながらつくらなければならない。ローンチ前にフィールドトライアルも行ないますが、それでも実際に動きはじめると、想像通りのことは大抵起こりません(笑)。 特に驚かされたのは、サービス開始初日からお客様から想定以上に信頼していただけたこと。2021年、最初にシアトルでローンチした際に、パスポートの更新や家族の用事など、かなり細かい個人情報を伴う依頼がどんどん寄せられたのです。 ご要望に応えられるように、急いでセキュリティ対策やデータのプライバシー保護の仕組みを強化する必要がありました。このような事態は、サービスを開始してみなければわかりません。 もう1つは組織のマネジメントの話ですが、会社を立ち上げた当初はチームビルディングに苦戦しました。日米から様々なバックグラウンドを持つ人材が集まっていますが、特にシリコンバレーのスタートアップでは、技術力は優れているけれど、コミュニケーションが得意でない人もいます。そうした中でのマネジメントは大変ですし、自分がCEOだとほかのメンバーにも相談できません。 そこで外部のコーチをつけて、一緒に解決策を考えてもらうことにしました。そういう相談相手を置くこともリーダー層には必要だと思います。 ──松岡さんがチームビルディングで気をつけていることや、リーダーシップのスタイルについて教えてください。 組織運営では、採用の段階からミッションに共感してくれる人を選びます。 当社にはクレド(信条)があり、そこには「失敗しても立ち上がる」という項目があります。失敗を責めるのではなく、チャレンジを奨励したいのです。そういった価値観を共有できる人をメンバーに迎えています。 リーダーシップについては、私がいつもチームに伝えているのは「何よりお客様を大切にする」ということ。お客様に今までにない価値を届け、Yohanaを必要だと思ってもらいたい。それをチームにも常に伝え、お客様から離れた議論になりそうな時は軌道修正します。 ──最後に、松岡さんが仕事に取り組む熱意の源泉を教えてください。 熱意の源泉は、「パッションとミッション」です。 パッションは常に私の中心にあります。たとえば子どものころからテニスが大好きで、10代でプロを目指して渡米したほど。しかし、ただ勢いで行動しているわけではなく、次に何をするかは慎重に決定しています。何かを決める時は「これから5年、パッションを持ち続けられるだろうか?」と自分に問いかけるようにしているのです。 ミッションについては、『テクノロジーの力で、人が「なりたい自分」になれるようにする』ことが、私にしかできない貢献だと信じています。 この熱意を保つために、常に自分に問いかけているのは、「自分自身が楽しんでいるか」「人の助けになっているか」ということ。大好きなことで人の役に立たなければ意味がない。その想いが私の原動力になっています。