「アフターコロナ」時代の消費行動は?
新型コロナウイルスの感染拡大によって私たちの消費行動は大きく変化しました。代表的なのは「巣ごもり需要」の拡大です。一方、来るべき「アフターコロナ」の時代、消費行動は以前のように戻るのでしょうか。それとも、この変化は不可逆的なものなのでしょうか。ニッセイ基礎研究所生活研究部の久我尚子主任研究員に聞きました。
Q:新型コロナウイルスの感染拡大を受けた国内の消費行動をどうみますか?
動画配信サービス、通信教育、飲食物のデリバリーサービス、ネット通販などのオンライン型サービスが伸びていますが、こうした動きは、感染拡大前にもすでに生じていました。感染拡大によって、その動きが加速したと言えます。
Q:コロナ禍が収束した後の消費行動はどうなるとみていますか?
動画やオンライン購買・決済などオンライン型サービスを幅広い消費者が体験していますし、今回その速度が増しました。「アフターコロナ」時代では、さらに市場拡大が見込める分野も多いのではないでしょうか。
Q:具体的にはどのような分野に注目していますか?
例えば、通信教育です。子ども向けの動画配信や本の読み放題サービスは休校解除にともない需要が一段落するかもしれませんが、(教室に通う必要がない)オンラインのヨガや英会話などの教室については、幅広い年代で忙しい人が増加している現状を背景に、その後も人気が続くと思います。
Q:教育分野以外ではいかがでしょうか?
食品など生活必需品の宅配ニーズも増えると見ています。日本の世帯構造の変化を見ると、共働き世帯や単身高齢者世帯が増えています。共通点は家庭内の人手不足。だから買い物や料理の作り置きなど、家庭内の仕事を代行するサービスへのニーズは非常に高く、これからも伸び続けるでしょう。
Q:収束後、最初に目立つと思われる消費行動は何でしょうか?
感染が収束し、外出や移動がある程度自由になれば、それまでの外出自粛によるストレスから、旅行やレジャー、外食などサービス産業の需要が一時的に伸びることが予想されます。 (取材・文:具志堅浩二)