【札幌記念回顧】ノースブリッジが強気な競馬で快勝 モーリス産駒の得意条件を見事に生かす
苦手を克服する難しさ
誰にでも苦手なことはある。不得手に対してどうするか。この考え方も時代とともに変化してきた。かつて、苦手は絶対克服しなければいけない壁だった。しかし、苦手に時間を要するぐらいなら、得意を伸ばす方が実力を発揮できるという心持ちが主流になり、プラス思考の大切さに重きを置くようになってきた。それでも苦手が自身のパフォーマンスに大きく影響するなら、決して避けられない。完璧に消すことはできずとも、せめて苦手意識を拭える程度には克服しなければいけない。 【札幌記念2024 推奨馬】勝率50%&複勝率100%の鉄板データを持つ!実力は日本トップレベル SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) プログノーシスはまたもゲートが開く寸前で暴れてしまい、体勢が整わないままスタートすることに。この日、奇しくもCBC賞ではサウンドビバーチェが本馬場入場時に3度目の放馬。どちらも陣営は様々な工夫を施し、再発防止に努めてきた。それでも苦手は越えられない。人も馬も同じだ。苦手なものはどうしたって苦手。最後は自身の力で克服するしかないが、それは人間以上に馬にとっては難しいこと。これも競馬特有のもどかしさでもある。
モーリス産駒らしいノースブリッジ
一方、得意な形に持ち込んだのが勝ったノースブリッジだ。これで重賞3勝目。エプソムC、AJCC、札幌記念。一見、バラバラなようにみえるが、さすがはモーリス産駒といった戦歴といえよう。産駒が得意とするのは広いコースを先行して押し切る形だ。ところが高速決着は苦手だからモーリス産駒は悩ましい。東京のような広いコースは一般的に高速決着になりやすい。高速決着、特に上がりが速い競馬にウィークポイントがある同産駒は好走条件を選ぶ。道悪の東京、コーナーが緩い中山外回り、そして札幌は得意とする。適度に時計がかかる広いコースのイメージに近い。 小回りをこなす器用さがあれば、モーリス産駒が活躍する場も増えると思うが、できればコーナーが緩く、曲線部分で急かされない競馬がベスト。札幌記念はジャックドールに続き早くも2勝目。モーリス産駒は得意不得手がわかりやすく、ある意味で付き合いやすい。 レース展開はプログノーシスが後方になり、完全にレースの眼は後ろについた。アウスヴァールが逃げ、離れた2番手にノースブリッジ。この形も最高だった。リズムよく運びながら、後ろについたレースの眼を気にすることなく、早々にアウスヴァールをとらえに動いた。まずは自分の競馬に徹することを優先する。岩田康誠騎手らしい潔い競馬もノースブリッジには合う。強気な競馬と舞台設定。すべてが合致した勝利といえる。 中東、香港と果敢に挑み、札幌記念制覇までたどり着いた。当然、残すはGⅠ。天皇賞(秋)が距離としては合う。当日の馬場が少しでも時計を要してくれれば、チャンスは巡ってくる。この辺はモーリス産駒らしく、割り切って考えたい。