AIで「動物とコミュニケーションを図る」プロジェクトが25億円を調達
人工知能(AI)を利用して動物のコミュニケーションを解読することを目指す米国のNPO(非営利団体)のThe Earth Species Project(ジ・アース・スピーシーズ ・プロジェクト)は10月17日、複数のビリオネアから1700万ドル(約25億円)の寄付金を獲得したことをフォーブスに独占的に明かした。 このうち、1000万ドルはLinkedInの共同創業者であるリード・ホフマンが設立したAphorism Foundationからのものだ。残りの700万ドルは、故スティーブ・ジョブズの未亡人でビリオネアのローレン・パウエル・ジョブズが設立した慈善団体の1つWaverley Street Foundationからのもので、今後の3年間に渡って支払われるという。 今回獲得した寄付金は、アース・スピーシーズ ・プロジェクトが2023年に計上した経費の5倍以上に相当する額で、AI研究チームの人員を少なくとも倍増させることに充当される予定だ。同NPOの8人からなるグローバル研究チームは現在、鳥の発声パターンを研究し、コミュニケーションに役立てようとしている。彼らはまた、動物の種類に関係なく用いることができるChatGPTと類似したAIモデルの初期バージョンを開発中だ。同NPOが目指すのは、人間が自然界における自らの位置づけに対する認識を変え、気候変動や生物多様性に貢献することだ。 6年前に設立されたアース・スピーシーズ・プロジェクトの共同設立者でプレジデントのアザ・ラスキンは、「過去2年間で、AIは翻訳可能なものは何でも翻訳できることを示してくれた。望遠鏡によって地球が太陽系の中心ではないことがわかったように、我々のツールによって人類が世界の中心ではないことが発見できるだろう」と述べている。 フォーブスの「30 UNDER 30」選出されたことのあるラスキンは、2013年に公共ラジオNPRでゲラダザルが人間のような発声をするという話を聞き、動物のコミュニケーションを解読できないかと考えたという。それから5年後、元Mozillaのデザイナーで3度の起業を経験したラスキンは、シリコンバレーのテック企業出身のブリット・セルビテルとケイティ・ザカリアンとともにアース・スピーシーズ ・プロジェクトを設立した。セルビテルは、ツイッターの創業メンバーで、ザカリアンはフェイスブックの初期の社員だ。