「こいつら強かったな」なぜ中大は箱根駅伝で“想定の上限より上”の2位に? “ピクニックラン”狙う青学大・原監督に藤原監督の不敵「1年生、強いですよ」
新春の陽光にもっとも映えたのは、深紅の襷だった。 4区から5区へ襷を繋ぐ小田原中継所に真っ先に飛び込んできたのは戦前「3強」と言われた青学大でも、国学院大でも駒大でもなく、ダークホースとみられていた中大だった。 【貴重写真】「これは…トガってるな!」“不敵発言”の中大・藤原正和監督24年前の箱根駅伝での激走シーンと丸くなった?現在…「ほぼシンクロ!」1区で“大逃げ”する吉居兄弟の写真も比べて見る 最後は力尽き、青学大に逆転優勝を許したが、107.5kmの往路のほとんどで先頭を走った。5区で青学大の若林宏樹(4年)に抜かれながらもゴールに近づいてくる園木大斗(4年)の姿が芦ノ湖の大型ビジョンに映ると、中央大の陣営からは拍手も起こった。 往路2位。鮮やかな復権である。1年前は屈辱を味わった。優勝候補の一角のはずが、大会直前に体調不良の選手が続出し、往路13位。復路も精彩を欠いたまま、総合13位でシード権を失った。この日は違う。藤原正和監督の表情も自然と柔らかくなった。
藤原監督「やっぱり、こいつら強かったな」
「我々の想定の上限よりも上に行きました。やっぱり、こいつら強かったなっていうのが、今の本当の率直な気持ちです」 その手応えは、5区の9.5km地点で抜かれた園木を出迎える選手たちの表情を見ればわかる。園木がゴールテープを切ると、エースの吉居駿恭(3年)ら仲間は笑顔だった。 吉居はねぎらうように言った。 「園木さんにはホントに3年間お世話になっているので、もっと自分たちで差を広げていれば優勝させてあげられたのにと感じて、申し訳なさもありました」 中央大の快進撃を生んだのは、まぎれもなく1区吉居の快走だった。東京・大手町をスタートすると、すぐに集団から抜け出した。最初の1kmを2分46秒で入ったが後ろが追いついてこない。腹をくくった。 「スローペースが嫌だったので、2分50秒ぐらいのペースで行けるように。最初のきっかけを作るためにも前に出たのですが、誰も反応してこなかったので、このまま行ってしまおうかって感じでした」 当初のレースプランとは違う展開だったという。だが、吉居には背中を押された過去のレースがあった。 「兄の動画を結構、見ていたのでイメージはできていました」 昨年までの同僚で兄の吉居大和(現トヨタ自動車)は22年に区間記録の1時間00分40秒をマークしていた。3年前の兄は5km過ぎから独走。弟もまた兄の“背中”を追った。無駄のない美しいフォームでビルの合間を駆けてゆく。5km通過は兄よりも速かった。 一人旅の1時間1分7秒は兄に及ばなかったが、仲間を鼓舞する力走になった。走り終えるとテレビインタビューで、こう伝えたのだ。 「ここのところ、チームとして1区から流れないことがあって、楽しい駅伝をできていなかった。先頭を走って、先頭で渡して楽しい駅伝にしてほしい」
【関連記事】
- 【貴重写真】「これは…トガってるな!」“不敵発言”の中大・藤原正和監督24年前の箱根駅伝での激走シーンと丸くなった?現在…「ほぼシンクロ!」1区で“大逃げ”する吉居兄弟の写真も比べて見る
- 【つづき/1区編を読む】「この順位はヤバい」青学大“1区10位”の誤算でも…じつは余裕だった? 原晋監督が予言していた“箱根駅伝の圧勝プラン”「普通に走れば独走」
- 【つづき/2区編を読む】箱根駅伝「史上最速の2区」で分かれた“エースたちの明暗” 青学大・黒田は晴れ晴れ、国学院大・平林はうつむき…駒大・篠原は「適性には勝てない」
- 【つづき/3区編を読む】「陸上人生で初…なんだコレ」青学大・原晋監督“じつは異常事態だった”3区、失速の原因は? それでも箱根駅伝で負けない異様さ…TV解説者の“発言”
- 【兄弟秘話】箱根駅伝あの“伝説の1区”から3年「兄的にはドキドキしちゃった」吉居兄弟のカワイイ関係…弟・吉居駿恭も“大逃げ”成功、中央大・藤原監督が語る「兄弟の差」