新型コロナ禍が日本代表強化に打撃…なぜ反町技術委員長は1年延期東京五輪を狙うUー23代表の活動白紙を決断したのか?
第二波や第三波の襲来とともに懸念されるのが、AFCも言及した「政府による移動と医療に対する制約」となるだろう。 日本の厚生労働省は現時点で、すべての国や地域からの入国者に対して、国籍や入国の目的を問わずに、入国翌日から自宅などで2週間待機することを定めている。 特に入管法に基づく「入国制限対象地域」に滞在歴がある場合は、入国する全員がPCR検査を受けることも義務づけている。最新の「入国制限対象地域」を見るとスペインやドイツ、イタリアなど日本代表のヨーロッパ組がプレーしているすべての国が含まれているだけでなく、日本がホームでアジア2次予選を戦うタジキスタン、キルギス両国も5月下旬から追加されている。 加えて、アウェイ戦を戦うモンゴルも現時点で航空の運航便を停止させ、同時に外国人の入国も原則禁止している。夏以降にどのようになるのかはわからないが、状況が許した場合には森保監督が望む活動をサポートする意向を示した反町委員長は、こんな言葉もつけ加えている。 「私は感染症の専門家でもないので何とも言えないんですけど、できればいい方向へ向かってほしい。つまり海外にいる選手が、いろいろなハードルがなく日本へ入れるような状況になってほしい」 東京五輪世代を含めたベスト布陣で森保ジャパンが戦ったのは、敵地でタジキスタンに勝利した昨年10月15日のアジア2次予選が最後になっている。世界中の代表チームが活動を休止しているとはいえ、ここまで空白期間が生じる状況はチーム強化に停滞どころか後退をもたらしかねない。 ゆえに反町委員長もフル代表を9月に活動させ、チームとしてのベースを確認する舞台を設ける可能性を模索している。しかし、海外からの入国制限が解除されない限りは招集することもかなわないし、何よりもアジア2次予選を再開できるかどうかも現時点では不透明な状況にある。 他国との実力差を考えれば、4戦全勝でグループFの首位に立つ2次予選の通過は問題ない。ただ、内容を伴わない試合が多かった昨年の森保ジャパンの軌跡からは不安も顔をのぞかせていた。活動再開が来年にずれ込んだ場合には、韓国代表や中東勢などの強敵ばかりが集う最終予選を見すえて、メンバーの大胆な入れ替えで内側から活性化させるチーム改造も必要になってくる。