「泣いてないです。でも…」オリックス・山下舜平大が379日ぶり勝利に明かした思い…新人王右腕の苦悩と「リリーフ起用」首脳陣の真意とは
「エグくね?」 サードの宗佑磨は守備位置から、思わず目が合ったセカンドの西野真弘に訴えた。 【画像】「しんどいっすよ…」22歳にして大きなものを背負っていたオリックス・山下舜平大…春季キャンプの真摯な練習風景、宮城大弥との「ペやぎ」2ショットなどこの記事の写真を見る 8月18日のオリックス対日本ハム戦。1カ月半ぶりに一軍の先発マウンドに帰ってきた山下舜平大の剛速球に、「ビビりました」と宗は振り返る。
「待球作戦」を崩した球威
「初回えげつなかったです。特に低めの伸びが。今年で一番ヤバかった。球の重さとスピード感と、バッターの見逃してる感じ。たぶん相手は振らないという作戦だったとは思うんですけど、それにしても、三振を取った2球はえげつなかったんで、今日はやるんじゃないかと思って見てました」 初回は先頭の淺間大基に150km台中盤のストレートを続け、4球目、糸を引くような157kmが外角低めに突き刺さり見逃し三振。2番・五十幡亮汰に対しても4球目の156kmが低めに決まり、またも見逃し三振。宗でなくても「エグ!」と声が出そうな球だった。 その後、突如制球が乱れて連続四球を与える。5番フランミル・レイエスをセカンドゴロに打ち取るが、2回も連続四球などで無死満塁のピンチを背負った。
「カーブはあとちょっと」からの修正
そこからがこれまでと違った。スイングし始めた日本ハム打線に対し、空振りやファールで追い込み、淺間の犠牲フライによる1失点でしのいだ。 3回以降はカーブでカウントを取れるようになったことで、よりストレートが活き、三振の山を築いていく。 2回まではカーブがストライクゾーンに決まらずカウントを悪くしていたが、感覚は悪くなかったと山下は振り返る。 「カーブはあとちょっとだったんです。(3回からは)狙う場所を、右バッターの“この辺”に投げることを意識しました」 自身の左肩あたりを指しながら言った。
苦しんだブレーク2年目
本来の姿を取り戻した山下は5回1失点、被安打2、9奪三振。杉本裕太郎の2打席連続本塁打や宗の好守などに救われ、実に379日ぶりの白星をつかんだ。 昨季は打者を威圧する最速160kmのストレートとカーブの2球種を軸に9勝を挙げ、新人王に輝いた。 しかし今年は苦しんだ。4月3日の今季初登板では、ボールを思うように操れず8四死球と荒れ、6回途中2失点で負け投手に。オフの間、より強いボールを投げるためにトレーニングした結果、体が一回り大きくなったが、その体をまだ扱いきれていないようだった。その後も白星は遠かった。 「しんどいっすよ。結果が出てないんで」 そう言いながらも、常に前向きに振る舞っていた。
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