“終わりが見えない”不妊治療… かかる費用・やめ時・向き合い方を医師が徹底解説
費用だけじゃない! 時間、気持ち…不妊治療とどう向き合う?
編集部: 不妊治療と仕事との両立は可能なのでしょうか? 長谷川先生: 不妊治療と仕事の両立は可能ですが、治療内容によっては頻繁な通院が必要になる場合があります。可能であれば事前に職場と相談し、理解を得ることで、治療のストレスが少しでも軽減できると思います。 編集部: 不妊治療って、どのくらいの期間続くのでしょうか? 長谷川先生: 不妊治療の期間は個人差がありますが、一般的には数カ月~数年にわたることが多く、場合によっては10年以上かける人もいます。治療の進捗や結果を見ながら、パートナーや医師と相談して進めていくことが大切です。 編集部: 不妊治療の「やめ時」というのはありますか? 長谷川先生: それぞれの考え方や年齢、経済的状況などにもよると思うので、一概に「ここがやめ時」とは言えません。一例として「排卵誘発剤を使っても、卵胞が育ってこない」「自力での生理が来ない」といった場合には、年齢に関わらず体内に卵子が残されていない可能性があるので、やめ時と考えた方がいいかもしれません。 編集部: ほかにもありますか? 長谷川先生: やめ時とは別の話になりますが、「卵子は取れて、受精卵にもなるけれど、胚盤胞にならない」というケースが続く場合は、クリニックを変えてみてもいいかもしれません。なぜなら、受精卵の培養環境が合っていない可能性があるからです。培養環境はそれぞれのクリニックによって異なるため、環境を変えると成功するケースもあります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 長谷川先生: 不妊治療は、年齢で妊娠率が大きく変わります。そのため、先延ばしにせず「あれ?」と思ったらまずは相談だけでもしてみることをおすすめします。また、不妊治療をする際に「不妊治療以外で家族を持つ選択肢」も、頭の片隅に置いていただければと思います。実際に、養子縁組や里親制度で幸せに暮らしている家族がたくさんいます。「これらの制度を使いましょう」というわけではないのですが、「不妊治療が失敗したら、自分の人生は終わりだ」と思い込んでいると、メンタルを保つのが困難でしょう。「妊娠・出産すること」が唯一無二の選択肢にならないよう、養子縁組や里親制度も選択肢の1つとして知っておくだけでも、心が少し穏やかになるかと思います。