ドガも鑑賞したであろうロマンティック・バレエの名作『ジゼル』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
アダン『ジゼル』 印象派の画家ドガを魅了した題材とは
今日7月19日は、フランス印象派の画家で彫刻家、エドガー・ドガ(1834~1917)の誕生日です。 比較的裕福な家庭の出身で、バレエを好み、パリ・オペラ座の定期会員になっていたドガの作品には、バレエを扱った作品がたくさんあります。中でも、楽屋や練習風景、舞台袖といった一般人では出入りできない場所での場面を描いたものが多いのは、座席を年単位で購入する定期会員が、オペラ座の楽屋や稽古場に自由に立ち入ることが許されていた名残のようです。 当時は、「クラシックバレエ」や「モダンバレエ」以前に流行した「ロマンティック・バレエ」全盛の時代だったことから、ドガが描いたバレエ風景は、すべてロマンティック・バレエの風景です。 さて、ドガも鑑賞したであろうロマンティック・バレエの名作といえば、フランスの作曲家アダン(1803~56)の『ジゼル』が有名です。1841年に初演され、今も世界中のバレエ団で上演されているこの作品は、中世ヨーロッパの村を舞台に、恋人に裏切られて命を落とした村娘ジゼルが、死後に精霊となっても愛を貫くという、ロマンティックなことこの上ない名作です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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