「民泊ブーム」再び? 物件数は過去最多、国内利用が4割超え。そのニーズをひもとく
Airbnbの発表によれば、同社が2020年10月~12月に実施された「Go To トラベルキャンペーン」に参加したことで、国内ゲストが増加したという。2023年時点でのAirbnb利用者の64%は日本ユーザーであり、民泊全体の国内利用客の割合よりも多くなっている。 同社の調査では、旅行の目的地が分散し、地方の宿泊ニーズが増加する動きも見られている。日本におけるAirbnbゲストの地方滞在の割合は、2019年の3.3%から2023年に9.2%へ劇的に上昇している。コロナ禍以降の在宅勤務の拡大により、新しい環境やより広いスペースを求めて郊外への旅行人気が高まっているそうだ。 さらに、28泊以上滞在するゲストの宿泊全体に占める割合も、2019年と比較して4倍以上に増加している。ワーケーションなど柔軟な勤務形態が浸透したことが影響しているようだ。2023年には、日本での長期滞在者の消費額は、アジア太平洋地域全体でオーストラリアに次ぐ第2位となっている。
都内のホテルは過去最高単価を記録
民泊の需要が伸長する背景には、「ホテル単価の上昇」がある。日本経済新聞の報道によれば、4月の国内ホテルの平均客室単価は21,902円で前月比4.7%の上昇に(不動産データ分析大手、米コスター・グループ傘下のSTR調べ)。2000年以降で初めて21,000円台になったという。東京は33,344円で、調査を始めた1996年以降の最高値だったという。 こうした値上げにはインバウンド需要や物価高が影響しており、コロナ禍前の2019年と比較すると、平均客室単価は1.5倍にも上昇している。1泊1万円以内で宿泊できる都内のビジネスホテルを探すのは困難で、出張における宿泊費の上限を見直す動きも求められている。
民泊支援事業も活発化
民泊需要の増加に伴い、民泊利用を支援する動きも見られている。 総務省の調査によれば、2023年の空き家数は900万戸と過去最多に。2018年から51万戸の増加となり、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)も13.8%と過去最高となった。 こうした空き家の有効活用を目的に、東急不動産ホールディングス、Airbnbの日本法人、オリエントコーポレーション、空き家所有者・地域・事業者・自治体を繋ぐマッチングプラットフォーム「アキカツナビ」を運営する空き家活用社の4社は、2024年7月に業務提携することを発表した。 4社の業務提携により、空き家の民泊活用における「物件調達」「資金付け」「事業計画」「マーケティング」をワンストップで提供できるという。 これまで、Airbnb・オリコ・アキカツナビは、空き家にかかわる幅広い資金ニーズに対応する無担保消費性ローン「アキカツローン」の商品化や空き家のホームシェアリング活用を通じて、空き家の流通促進に取り組んできたという。