「闇バイト」のターゲットは「一戸建て」とは限らない… 〈マンション強盗〉で狙われやすい「物件の特徴」「驚きの手口」
全国で相次いでいる、いわゆる「闇バイト」による強盗事件。狙われやすいのは郊外の一戸建てというイメージを持つ方も多いかもしれない。しかし実際にはセキュリティが高いマンションであっても強盗の被害は発生している。 【一覧】こんな家は狙われる!「強盗被害危険度判定チェックリスト30」 そんな「マンション強盗」の巧妙な手口について、ホームセキュリティのリーディングカンパニーとして知られる、セコム株式会社コーポレート広報部の仁村園子さんに話をうかがった。 取材・文/石井晶穂
狙われるのは一戸建てだけではない
「オートロックのマンションに住んでいるから、自分には強盗事件なんて関係ない」 そう思っているなら、考えを改める必要がありそうだ。 警察庁が発表した「刑法犯に関する統計資料」によれば、2023年に発生した強盗の認知件数は1361件。前年の1148件から2割近くも増加している。 また同じく警察庁の「住まいる防犯110番」によれば、建物に侵入し、凶器を使用して金品を奪う「侵入強盗」は414件。発生場所を見ると、一戸建てが20%、共同住宅(3階建以下)が8.7%、共同住宅(4階建以上)が8%と、個人住宅を狙った侵入強盗が全体の36.7%を占めている。 ここで注目したいのが、「共同住宅」での発生率の高さだ。低層住宅と高層住宅を合わせると約17%、一戸建ての20%に匹敵する。一戸建てもマンションも、強盗にあうリスクはさほど変わらないのだ。 セコム株式会社の仁村園子さんは、狙われやすい家について次のように語る。 「一戸建てかマンションかは、それほど関係ありません。狙われやすいのは隙のある家、つまり強盗が入りやすいかどうかです。昨今の『闇バイト』の強盗は、隙さえあれば一戸建てでもマンションでも入ってくる可能性があることを、みなさんに知っていただきたいですね」(仁村さん) そんな「マンション強盗」から身を守るには、どうすればよいのだろうか。
マンション特有の「4つの侵入手口」
まず大事なのは、彼らの手口を知っておくことだ。いったい、どのようにして侵入してくるのか。 よく知られているのは、次のような手口だ。 ・無締まり 鍵がかかっていない玄関ドア、窓から侵入する。 ・ガラス破り 窓ガラスを破壊し、そこから手などを入れて鍵を開けて侵入する。 ・ドア錠破り ピックと呼ばれる特殊な工具などを使用して、ドアの鍵を短時間で開ける。 ・合鍵 庭やポストなどにある合鍵を使って侵入する。 しかし、それだけではない。仁村さんによれば、マンションの住人だからこそ注意しなくてはいけない、マンション特有の侵入手口が存在するという。 (1)共連れ 住人にまぎれて一緒にオートロックのエントランスを通過し、マンションの敷地内に侵入する。 (2)業者を装う 宅配業者や、電気・ガスなどの設備点検を装って訪問。ドアを開けたところで室内に押し入る。 (3)下がり蜘蛛(さがりぐも) 非常階段などから屋上に上がり、ロープなどでベランダに下りる。たとえタワーマンションの上層階に住んでいたとしても、窓から侵入される可能性がある。 (4)足場を利用 雨どいや近隣の建物など、足場になるものを利用してベランダに侵入する。隣接する建物に、工事などで足場が組まれているときはとくに注意。 このように、マンションの安全性やセキュリティの隙を突いて、彼らはさまざまな手を使って侵入してくるのだ。