AI時代にこそ「総務が磨くべきスキル」とは “なんでも屋”はもう終わり
総務にとって価値を届けるべき「顧客」とは、目の前の従業員だ。その顧客のことを、果たして本当に理解していると言えるのだろうか? 月刊総務の調査によれば、総務の情報収集に重要なのは「ぶらぶら」することだ。現場をぶらぶらしながら、従業員との何気ない会話から、潜在的な課題や、不安、あるいは要望をくみ取り、現場に即した提案をしていく。ある意味、総務の社内マーケティング活動である。調査データからも分かるように、多くの総務パーソンが実践している。 一方で、生成AIが急速な進化を遂げている。ほとんど人と同等のスピードで話すことができるようにもなってきた。なんでも屋として見られる総務の仕事は、今後、このAIと、どのようにすみ分けていけば良いのだろうか?
AI時代に磨くべきスキル
生成AIを使うと、メールの作成から議事録、提案書、採用についての公募書類まで、ありとあらゆる文書が作成できる。総務に寄せられる問い合わせについても、的確な回答を返してくれる。最後は人の判断や確認が求められものの、十分なたたき台は作成可能だ。 単純作業や繰り返しの作業は、RPAなどを用いたシステムの方が、間違えず、文句も言わず、24時間365日対応できる。さらに、専門技術を要する仕事は、総務内で行うより、外部のプロフェッショナルであるBPOに任せた方が、仕上がりが良いかもしれない。 現在の総務の仕事を可能な限りテクノロジーに置き換え、残りはBPOに任せるとして、われわれ総務パーソンには一体、何が残るのか?
ぶらぶら総務は、AIで可能か?
先述したぶらぶら総務の目的は、現場の空気を体感し、違和感を覚えることや問題を発見して、先回りして対処することだ。 既に問題となっていることは、そのまま対処すれば良く、BPOなどでも対応できる。総務パーソンが行うべきは、自社のことを知り抜いた上で、潜在的な問題を発見することだ。この潜在的な問題は、まだ言語化されておらず、生成AIは提示できない。そこから、具体的な課題設定へと移る。