東急「たまプラ」と小田急「新百合」、どこが同じで何が違うのか 田園都市線と小田原線、実は近い2つの駅
開発の発端となったのは、有機農業の父としても知られる一楽照雄が提唱した「農住都市構想」で、小田急電鉄が新駅開設と多摩線整備を発表した1968年に、地権者主導のまちづくりが提唱された。 ここに当時の多摩区を分区し、この地区を行政の中心とする構想を抱いていた川崎市が加わり、地権者と川崎市による協同開発が進められることとなった。 ■「新百合」と多摩線は開業50年 小田急電鉄は新駅設置に際して、駅の北西側を走る津久井道に沿うように走っていた路線を、カーブの緩和のために南東側に移設した。駅の開業後、1982年に誕生した麻生区の区役所は、駅と旧線跡の間に置かれた。
駅は島式ホーム3面6線という、小田急電鉄では新宿駅に次ぐ規模であり、基本ルールは1・2番線が小田原線下り、3・4番線が多摩線、5・6番線が小田原線上りとなっているが、小田急電鉄広報部に聞くと、臨機応変に対応しているようだ。 「夕方のラッシュ時は小田原線下りの各駅停車との接続を優先するため、多摩線直通の急行も2番線着に変えています。また当駅での閉塞を防止するため、たとえば1番線に下り各駅停車到着後、小田原線の優等列車と多摩線の急行が3本続くときは、2本目の優等列車を3番線に入れるなどしています」
新百合ヶ丘駅前の大型商業施設は南口に集中しており、小田急グループの「アコルデ」「エルミロード」のほか、イオングループの「イオンスタイル」「オーパ」もある。バスターミナルもこの南口にある。 反対側の北口には前述した麻生区役所のほか、複合施設「新百合21ホール」「農住ビルアーシス」、小劇場や映像館などを備えた「川崎市アートセンター」がある。さらに南口には昭和音楽大学、北口には日本映画大学と、駅から徒歩数分内に大学のキャンパスが2つもある。
川崎市では、芸術文化を振興する拠点とする「しんゆり・芸術のまち」の取り組みを進め、現在では「芸術・文化のまち麻生」の確立を目指しており、「しんゆり芸術祭」「しんゆり映画祭」などのイベントも開催している。アートセンターや芸術系大学の設置は、こうした方針が関係しているようだ。 【写真の続き】東急田園都市線のたまプラーザ駅と小田急小田原線の新百合ヶ丘駅。それぞれの駅周辺の様子は? 新百合ヶ丘の将来については、横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸がトピックになるだろう。