米の「1等」比率、8割まで回復 産地の高温対策が奏功 9月時点
農水省は29日、2024年産米(水稲うるち玄米)の9月30日時点の全国の1等比率が77・3%だったと発表した。前年同期を17・7ポイント上回り、平年並みの水準となった。東北や北海道は9割を超え、昨年は猛暑で低迷した新潟県も84%と回復。高温で白未熟粒が発生した産地もあるが、昨年に比べれば天候条件が良かったことや、生産現場での高温対策が進んだことが奏功したとみられる。 【一覧表】全道府県の1等米比率を見る 9月末時点の1等比率としては、過去5年平均を4・1ポイント上回る。1等比率が前年を上回ったのは23道府県。年産総量の約4割に当たる181万9100トンまで検査が進んだ。前回の8月末時点では収穫本格化前だった北海道、東北、北陸の検査結果が今回は反映され、全国の1等比率が上昇した。 昨年、等級が低下した主産県では大きく回復した。新潟は84%で前年同期から70・5ポイント増、山形県は95%で同40・3ポイント上回った。秋田県も92%で同29・4ポイント増、北陸も8割以上となった。一方、茨城県は56・5%で前年並みとなるなど、地域差も出た。 同省は1等比率が回復した理由に、高温と渇水が重なった昨年に比べると天候条件に恵まれたことと、高温の影響緩和に向け産地での対策が進んだことを挙げる。昨年の等級低下を踏まえて産地では、高温によって稲の消耗が進まないよう、田を冷やす水管理や、追肥の強化などの対応が取られた。 暑さの影響が出にくい高温耐性品種では、新潟「新之助」が99・4%、秋田「サキホコレ」が99%、山形「つや姫」が98・3%、富山「富富富」が98・3%などと、100%近い水準を確保した品種も目立つ。 23年産は猛暑により、でんぷん蓄積が進まずに白く濁る白未熟粒が多発し、1等米比率が過去最低の60・9%(24年3月末時点)に低下。品質低下で精米歩留まりが下がり、流通量が減った経緯がある。今年は回復傾向にあるものの、高温の影響が出ている産地もあり、さらに収穫が進む10月以降の結果も注視する必要がある。 (玉井理美)