オープン早々、超予約困難店に! 和牛×フレンチの新たな可能性が食通たちの心をくすぐる
部位によって、爽やかな酸を添えるものもあれば、サーロインのように豊かな脂をたたえた部位には、まろやかなテクスチャーをレイヤードすることも。4日かけて仕込む牛の白湯スープと合わせたサーロインのポシェは、まろやかな旨みと甘みが口の中で渾然一体となり、幸福感に包まれる。
時間を見極め、とろとろに仕上げたテールは和牛の旨みの凝縮感も桁違い!
コースは前菜からお茶菓子まで10品前後が登場するが、中盤よりも前に和牛テールの赤ワイン煮込みが。コースを構成する際に、いかに緩急をつけるかも料理人のセンスの見せどころだが、北山シェフは「最後にご飯をお出しするというのもあって、味が濃いものは中盤よりも前に。
牛テールの煮込みはフランス料理の定番ですが、これは時間をかけて煮込むほどよいというわけではありません。噛み締めたときに肉の味がしっかりする時間を見極め、赤ワインやフォンと一緒に4~4時間半かけて煮込んでいます」と話す。
炭火でじっくりと焼き上げる和牛のしなやかな旨みに陶然
肉や野菜の火入れに炭火を用いるのも「EN」の特徴。「オーブンを使えばある程度料理人がコントロールできますが、部位によっては炭でふっくらと火を入れて、香りもほのかにまとわせた方がいい場合もあります。
カウンターのレストランなので、目でも楽しんでいただきたいという思いもあって、炭台はあえてお客様から見える場所に設置しました」と北山シェフ。肉が焼けるのを待ちながら、美食の時間に身を委ねるのはなんとも贅沢だ。
火入れがものをいう「黒タン」は贅沢な1本焼きで!
肉の仕入れと火入れに絶対的な自信があるからこそ、タンは1本焼きで提供。個体にもよるが、500g前後の芯タンを、炭で時間をかけて焼き上げる。タンは脂がのっているため炎が立ちやすいが、表面を焦がさないようにパリッと仕上げ、噛んだときのサクッとした食感とのコントラストを楽しませる。「ソースはうし松の焼肉をイメージしてネギタン塩ソースで。遊び心も少し加えつつ、豊かな旨みと酸味がふわりと合わさるように、肉の旨みのソースを加えるなど工夫しています」(北山シェフ)
東京で「牛肉が食べたい!」という気分になったら、星の数ほどの選択肢がある。ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ、焼肉……。だが、新しい食肉体験を望むなら、前もって予約を入れて、ぜひ、このレストランを訪れたい。