2025年の日経平均が「4万8608円」を達成する「3つの条件」とは何か
ただ、2024年、PERとEPSの最高水準が同日に実現したと仮定して計算すると、高値は4万4196円だったが、実際、3カ月のずれで実現した7月11日の日経平均の最高値4万2224円は、上記の4万4196円と比べて2000円ほどの誤差でしかなかった。 2025年は上昇3年目で、以前より為替の円安ドル高傾向も明確になって来たことを考えると、3カ月のずれは生じないと思っているが、最悪、大きくずれた場合の誤差(前出の「約2000円」)をあてはめても、2025年の日経平均の高値は4万6000円程度となり、前出の、多くの識者のコンセンサスの上限となる。
■2025年の市場環境は良好 前回の「日本株の『長期上昇相場』はまだ終わっていない」(2024年12月23日配信)でも触れたとおり、東京証券取引所が促す「資本コストを意識した経営」は2年目となり、上場企業にとっては一段と積極的な効率向上策をとってROE(自己資本利益率)上昇に努めなければならない。これは株価を当然押し上げることになる。 このガバナンス(企業統治)改革によるPBR(株価純資産倍率)の上昇は2024年にも見られたが、2024年末時点でも東証プライム銘柄の加重平均はなお1.37倍にすぎず、1倍を大きく下回る極端な低PBR銘柄が数多く存在する。約30年ぶりの「含み資産株」というキーワードが、市場を席巻する可能性もある。
また新NISA(少額投資非課税制度)を通した個人投資家の買いも2年目となり、本格化しよう。前出の2024年の大納会前の日経平均713円高も、実質2025年相場入りの日であり、その兆候だ。 2025年に入って、アメリカのジョー・バイデン大統領が1月3日、日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対する中止命令を出した。「アメリカの国家安全保障を損なう恐れ」としたが、これは中国への対応とかと見まがうような判断で、日米の今後の関係に影を落とし、次期トランプ政権が正式に発足する1月20日以後はさらに険悪な日米関係になるとの懸念もある。
だが、いくらアメリカが「自国ファースト」といえども、日本と中国を同列に見るなど考えられない。米中の対立が激しくなれば、漁夫の利が日本にめぐって来る。ただし、防衛費の負担は格段に増すだろう。これも防衛関連銘柄という株式市場の1つの柱をより堅固にするだけだ。 (当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト