【今行きたい大人の滋賀旅行】「やまなみ工房」で近江牛カレーとアウトサイダーアートを堪能
地産の食材を腕によりをかけて仕上げたランチなど、深呼吸したくなるようなブレイクタイムは、旅時間を一層豊かなものへと誘う。自分の内側に眠っていた優しい気持ちが目覚めるような、とっておきの店を紹介したい 【写真】滋賀で訪れたいカフェ
《EAT&BUY》「やまなみ工房 CAFÉ DE BESSO(カフェ デ ベッソ)」 真っ直ぐなアートが息づく場所
「やまなみ工房」は、甲賀で必ず訪れたかった場所のひとつ。37年続く滋賀のアウトサイダーアートのパイオニア的存在として知られ、敷地内にはギャラリーやアトリエに加え、カフェや菓子工房が点在。「個の存在に光を当てたい」という想いから、クリエイティブ集団「PR-y(プライ)」がプロデュースしたファッションやインスタレーションは世界的にも注目を集めている。また、前回紹介したプロダクト工房「NOTA&design」でも、やまなみ工房の作家とコラボレーションしたカップやプレートを制作。奇を衒わずに生み出されるストレートな表現力は純粋な強い輝きを放っている。
人気メニューのキーマカレーと近江牛のバーガーを堪能
圧倒な表現力に興奮し、未知の要素を受け入れるとエネルギーを消費するのか、ギャラリーを一巡したところでお腹から時分どきの知らせがあり、敷地内の「CAFÉ DE BESSO」へ。足を踏み入れると、利用者の山際正己さんが30年で10万体も生み出したという「正己地蔵」がディスプレイされている。陶土で作られた愛嬌たっぷりのお地蔵様は、海外からも制作オファーがあるほど。そのほか、カウンターの壁面タイルやバリエーションに富んだ絵画など、既成概念にとらわれないアートに目を奪われランチを待つ間もじっと座っていられない。 お待ちかねのカレーは、近江牛の特製キーマとほうれん草の2種類あいがけ。ライスは甲賀産の黒影米と玄米をブレンド、ターメリックを絡めたスパイスオイルに漬けた半熟卵や紫キャベツのマリネも絶妙なアクセントだ。ハンバーガーは近江牛のすき焼きをイメージして割下に絡めた牛バラや玉ねぎ、干瓢を茄子のグリルとともにサンド。一旦、冷凍させることで弾力を増した卵黄が具材をマイルドに調和している。玉ねぎと馬鈴薯のポタージュも優しい味わいである。