いまさら聞けない「ウェルビーイング」って何? 「働きがい」=「生きがい」の時代が復活するこれだけの理由
ほかにも、書店でポップを手作りする書店員の例があります。 ときどきものすごく手の込んだデザインのポップを見かけることはありませんか? これはポップを作成するというノルマ的な仕事に、自分なりの創意工夫や好きなこと、得意なことを取り入れている例です。結果として仕事のなかに楽しみを見いだすことができますし、売り上げに自分の仕事が貢献している実感が得られるでしょう。これは仕事を変化させている例です。 このように同じ仕事をしていても、やり方を工夫したり、視座を高く持ってみたりすることでやりがいが大きく変わります。ジョブクラフティングについては、ほかにもいろいろな考え方や方法論があるので、興味のある人は調べてみてください。
“働く”ことの復権
2024年は“働く”ことの復権が始まる年だと思っています。 この20年ほどは「働いたら負け」という言葉が現れたり、FIRE(経済的自立と早期リタイア)をもてはやす動きが目立ったりして、「働く」ことは必ずしもプラスにとらえられていなかったように思います。賃金が長年上昇せず、年功序列が定着していたことから、一生懸命「働く」ことが無駄なような雰囲気があったように思います。
しかし、長年のデフレから日本が脱却しようとしており、万年横ばいだった賃金が上昇の兆しを見せています。また人手不足が加速し、人材流動性は高まる一方です。「働いたら報われる」時代が戻ろうとしています。 リスキリングの必要性が認知されたり、若手からは、就職の際にキャリアや獲得できるスキルを重視する声も上がったりしています。 働くことは社会とつながり、生きがいを高める有効な手段です。今年は「働く」ことを通して、ウェルビーイングを高めてもいいかもしれませんね。 堤多可弘(つつみ・たかひろ) 堤産業医オフィス代表。医師。東京出身。弘前大学を卒業後、全国で精神科医・産業医やセミナー講師、メンタルへルスアドバイザーを務めている。産業医・精神科医として企業と従業員それぞれの立場に立ったアドバイスに定評がある。 文:堤多可弘 デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio) 編集:鈴木毅(POWER NEWS)