いまさら聞けない「ウェルビーイング」って何? 「働きがい」=「生きがい」の時代が復活するこれだけの理由
こうして近年、注目されてきたウェルビーイングですが、結局、その定義は何でしょうか? 私は、日本語における「幸せ」がもっともしっくりくると思っています。Well-Beingという言葉は、すでに1948年に発効した世界保健機関(WHO)憲章で掲げられた、健康に関する定義のなかで登場します。 WHOの言う「健康」とは広い意味であり、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。そして、この「すべてが満たされた状態」がウェルビーイングとされています。 つまり、単に身体が健康であるのみならず、精神的にも幸福であり、社会的にもよい状態であるという概念です。社会的によい状態とは、ほかの人や社会と建設的でよい関係を築けることとされています。たとえば職場や家族、地域社会、友人などとの関係に加えて、社会全体のなかの役割などですね。 ほかにもさまざまな分野で、さまざまな専門家がウェルビーイングを定義づけています。 日本でウェルビーイングの研究者として高名な石川善樹先生は、「朝ワクワクして目が覚めて、夜満ち足りた気持ちで眠れる」状態を究極のゴールにしたいと語っています。これもウェルビーイングのひとつの定義ですね。 結局、「満ち足りた状態」というのは人それぞれ過ぎてなかなか定義が定まらないので、さまざまな定義があるし、指標があります。
そうしたなかでも、日本人からすると「幸せ」がもっともしっくりくると思います。英語では「Happy」「Happiness」と訳されますが、これは感情という側面のみで、しかも一時的な感情を示すニュアンスが強いです。英語の「Are you happy?」と、日本語の「あなたは幸せですか?」は重みが違うと思います。どちらかというと、日本人の幸せはもっと広義で長期的な意味で使われることが多く、ウェルビーイングの概念に近いと思います。 なので。ここから先は「ウェルビーイング」≒「幸せ」というふうに考えてもらって大丈夫です。