いまさら聞けない「ウェルビーイング」って何? 「働きがい」=「生きがい」の時代が復活するこれだけの理由
注目された背景
さて、ここまでは改めてウェルビーイングとは何か?について解説してきましたが、企業において、なぜここまで注目されてきたのか、その背景を解説します。 大きな要因は社員の「ウェルビーイング」と生産性が正の相関を示すことです。 たとえば、幸せな人について以下のデータが報告されています(『ハーバードビジネスレビュー』2012年5月号の特集「幸福の戦略」、前野隆司・前野マドカ著『ウェルビーイング』)。 ・創造性:3倍 ・生産性:31%高い ・売り上げ:37%高い ・寿命が7~10年長い ・欠勤率:41%低い ・離職率:59%低い ・業務上の事故が70%低い また国家単位でも幸福度と収入、労働生産性は比例関係にあることが報告されています。さらに昨今は人手不足なども相まって、人を大切にしようという流れも非常に強くなっています。そのため、ウェルビーイングは注目されているのです。
働く×ウェルビーイング
ところで、勤労者である私たち一人ひとりは、どうやってウェルビーイングを高めていけばいいのでしょうか? 先述した石川善樹先生は、「職場での雑談」「家族」「生きがい」を大切にすることが重要と述べています。職場でワイワイガヤガヤと楽しく雑談をして笑う機会を増やし、家族を大切にして家族生活の満足度を高め、そして生きがいを見いだすことが重要なわけです。 生きがいに関しては、さまざまな考え方があると思いますが、働くことを充実させて働きがいを高めることも、生きがいを高めることにつながると私は考えています。 より働きがいを高めるには、ジョブクラフティングという考え方がポイントになります。ジョブクラフティングは、能動的に自分の仕事を変化させながら、働く意義ややりがいを高めていく方法論です。 たとえば、NASAで働く清掃職員に何をしているか尋ねると「宇宙飛行士が宇宙に行く手助けをしている」と答えるという逸話があります。同じ仕事をしていても、視座を高く持ち、やりがいを高めている例ですね。