【なぜ】息子の死は『指導死』か否か…大阪の有名進学校でカンニング後に自殺 「適切な指導だったのか」遺族らの悲痛の訴え 過去にも約100件の“指導死” 問われる教育の在り方
■「指導死」100件 文科省が指導の“手引き”を12年ぶりに
専門家らの調査によると、「指導死」とみられる事例は1989年以降、100件ほど起きているという。 背景には、法律で“指導できる権利”が認められていることがある。学校教育法では「教育上必要がある場合、叱責や処罰などの指導は可能。ただし体罰は禁止」とされているのだ。しかし、どの程度の叱責や処罰が許されるのかということは曖昧だった。 文科省は、「指導死」とみられる事例が後を絶たないことや、遺族らが改善を訴え続けていることを受け、2022年、教師が生徒を指導する際の手引き「生徒指導提要」を12年ぶりに改訂した。 そこでは初めて、「教職員による不適切な指導等が不登校や自殺のきかっけになる場合もある」と明記された。 一方、教育評論家の武田さち子氏は一定の評価をしながらも、「生徒指導提要には強制力がないため、教師の不適切な指導は法律で対応できるようにするべきだ」との見方を示している。
■息子の自死から3年…父親「裁判に決着つけ、親としての生き様を報告する」
裁判は双方の主張が対立し、今後もしばらく非公開の協議が続く見通しだ。 両親は公開の口頭弁論で、自身らを証人とした尋問を開き、心情や当時の状況を訴える機会も探っている。 2024年12月8日、男子生徒が亡くなってから丸3年がたった。父親が現在の心境を明かした。 (亡くなった男子生徒の父親) 「息子が自死して3年が経過します。学校の対応全般に疑問があり、裁判に踏み切っています。単身赴任中の出来事だったので、未だに息子がいないことは、頭では理解していますが信じられません。息子が私を呼ぶ時は『とうちゃん』でした。今もその声や顔が浮かびます。私がこの裁判に決着をつけて、私が亡くなった時にまた、息子に会って、親としての生き様を報告したいと思っています」 指導の在り方次第で、救えた命があったのではないか―。裁判を通じて、改めて教育現場の姿勢が問われている。
■悩みを抱えている人へ
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