【なぜ】息子の死は『指導死』か否か…大阪の有名進学校でカンニング後に自殺 「適切な指導だったのか」遺族らの悲痛の訴え 過去にも約100件の“指導死” 問われる教育の在り方
男子生徒が残した遺書には次のように記されていた。 「死ぬという恐怖よりも、このまま周りから(学校内から)卑怯者と思われながら生きていく方が怖くなってきました」(原文ママ) 父親は「卑怯者という言葉、人格を否定するような言葉が本人にとって必要以上に重くのしかかっていたのではないかと思う」と話す。 母親は涙を流しながら「本当にあの子が宝物だったので、今もまだ信じられなくて。『母ちゃん』って呼んでくれる声が、まだ全然消えなくて…」と悲痛な胸の内を語った。
■第三者委員会「人格否定」指摘も「指導が自死の原因と認定できず」 学校側は全面的に争う姿勢
指導を受けた直後、自宅謹慎中の生徒の身に起きた悲劇。両親は学校側に指導が適切だったかどうか調査をしてほしいと伝えたが、学校側は「調査はしてもしなくてもいいのですが、やりますか?」と答えたという。 結果的に、設置された第三者委員会の報告書では、まずカンニングに至った経緯について「男子生徒は当該科目に苦手意識を持っていた中、担当教諭から相当のプレッシャーを受け一定の影響を与えられていた可能性を否定できない」と指摘。 さらに「訓話での『カンニングは卑怯者がすることだ』という表現はカンニングの禁止を超えた、一つの行為で全人格を否定するような強い決めつけを感じさせる」とした。 一方で「学校側の指導が自殺に至った原因であるとは認定できない」と結論付けた。 男性生徒の両親は、委員会による調査では生徒へのアンケートが行われなかったことなどを理由に再調査を求めているが、現在まで学校側は拒否している。
息子の死から2年あまりがたった2024年4月、両親は清風高校を運営する「学校法人清風学園」に対し、約1億円の損害賠償を求め、大阪地裁に訴えを起こした。 翌月に始まった裁判で、学校側は全面的に争う姿勢を示した。 (学校側の主張) 「指導の際に『卑怯者』という言葉を言わせていたとの証言は得られていない。これまでに同様の指導を受けた生徒が自死等に至ることもなく、男子生徒の自死を予測することは困難だった」 裁判終了後、父親は「生徒によって指導の受け止め方が変わるということが分からないのか。『過去になかったから問題がない』というのはおかしい。学校でこのようなことが二度と起こらない社会になってほしい」と訴えた。