経営と人材確保を両立 特養5事例を紹介(福祉医療機構)
福祉医療機構(WAM)は10月31日、特別養護老人ホームで経営と人材確保を両立させている5事例をまとめて公表した。介護職員の半数以上が外国人のケースや、積極的にICT(情報通信技術)化を進めたケースなどを取り上げている。 近畿地方にある定員90人のユニット型特養では、外国人介護職員が53人在籍しており、全体の6割にあたる。中にはユニットリーダーを担う外国人もいるという。外国人の受け入れは2016年度から開始した。当時は人材確保に大きな懸念はなかったものの、理事長が「法人の余力があるうちから外国人の受け入れ体制を構築すべき」と決断したのがきっかけだった。 一方、同施設の周辺にはサービス付き高齢者向け住宅などが増加し、利用者確保には苦慮している。そこで収益確保に向け、要介護度によって法人内の別施設を紹介したり、ショートステイの予約を近隣施設より早期に受け付けたりするなどの工夫を実施。サービス活動増減差額比率は11・6%と全国平均より良好な水準を維持している。 このほか、積極的なICT化を進める四国地方の特養や、週休3日制など多様な働き方を取り入れている中部地方の特養も紹介した。 WAMは人員確保と経営を両立している施設の共通点は「経営課題の解決に取り組む文化が根付いていること」だと指摘。今後、人材確保はさらに困難になると強調し「多少の失敗を恐れずに成功体験を積み上げ、経営陣と職員が一体となって経営課題に取り組む文化を醸成することが重要」と訴えている。