小倉智昭さんが闘病したぼうこうがん 年間2万人発症、血尿や頻尿
キャスターとして活躍した小倉智昭さんが77歳で亡くなった。小倉さんは2016年にぼうこうがんを患ったことを公表し、18年にぼうこうの全摘手術を受け、21年に肺転移が見つかっていた。闘病しながら情報番組やラジオへの出演を続け、ぼうこうがんに関する発信にも力を入れていた。ぼうこうがんとはどのような病気なのか。 【写真まとめ】2月のインタビューに答える小倉智昭さん 国立がん研究センターのがん情報サービスによると、ぼうこうがんは、その90%以上がぼうこう内部を覆う粘膜の尿路上皮に発生する「尿路上皮がん」とされている。 国内では20年の1年間で約2万3000人(男性約1万7000人、女性約6000人)が発症したと新たに診断されている。22年には約1万人が亡くなった。50代ごろから増え始め、喫煙が主な危険因子だ。 主な症状は、血尿や頻尿、排尿時の痛み、尿が残るような感じ、強い尿意など。血尿は、尿が赤や茶色になり目で確認できる場合と、顕微鏡でしか確認できない場合がある。また、痛みを伴わず、一度出てからしばらく出ないこともある。 尿路上皮がんは進行すると、尿が出にくくなるほか、わき腹や腰、背中の痛み、足のむくみといった症状が出る。リンパ節や肺、肝臓、骨などへ転移することがある。 治療は、診断も兼ねて尿道からぼうこう内に内視鏡を入れ、がんを電気メスで切除した後、最適な治療法を検討していく。ぼうこう内に抗がん薬などを注入する治療や、がんのリスクが高い場合に行う全摘、さらに抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤などによる薬物療法がある。手術や薬物療法に放射線治療を組み合わせた治療法が検討されることもある。 ぼうこうがんにかかわらず、がんと診断された時から、がんに伴う心や体の負担を和らげる緩和ケアや、薬の副作用を抑える支持療法を受けることができる。 ぼうこうがんに似た症状の病気には、ぼうこう炎や尿路結石、前立腺肥大症、前立腺がんなどがあり、症状だけで診断するのは難しいことが多い。気になる症状がある場合には、早めに泌尿器科を受診し、検査を受けることが大切だ。【中村好見】