明日大阪大会開幕…10年ぶり甲子園狙う東大阪大柏原に「大谷翔平伝説」に重なる“二刀流ドラフト隠し玉”の野村和輝あり!
「近大付を意識しすぎて力んでしまった。一喜一憂するようではダメ。夏の大会では試合の後半だったり、先発を任されたりすると思いますが、マウンドに立つときがあれば、冷静に力を抜いて投げ、チームが勝つピッチングをしたい」 何が大切かを知ったのである。 取材した日は全体練習後に一塁守備へ回った。コンバートされて、まだ1カ月。野手としてのグラブさばき、ベースカバー、フットワークにも問題なかった。野球センスがあるのだろう。 プロ野球への道。それは就任3年目を迎えた土井健大監督(32)と入部時に交わした男と男の約束だ。大阪市立今津中時代には大阪中央リトルシニアの1期生としてチームをけん引。同時にコーチだった元南海投手、青井要さんから多くのことを学んだ。高校進学に際しては、大阪以外の有名私学からも誘いがあったが「元プロ野球選手の下でやりたいと思った」と即決。オリックス、巨人のユニホームを着た指揮官のいる東大阪大柏原を迷わず選んだ。 「監督のプレー映像はYouTubeで見ます。体の使い方などタイプが似ていますし、いまでも実際に目の前で打って見せてくれるので参考になります。ものすごく飛ばしますが、負けてられません」 とはいえ、入学時のサイズは、まだ74キロの細身。寮暮らしの中、通常の食事に「サトウのごはん」をプラスしたことで増量に成功したという。また効率よく筋力トレーニングを続けた結果、遠投120メートル、握力右80キロ、左75キロ、スクワット200キロという肉体を手に入れた。 課題だった精神面も逞しくなった。 土井監督によれば「入学したての頃は子どもっぽく、1打席目で凡打すると、その後もサッパリ。結果が出るとまとめて3安打するような、お調子もんでした。練習では打っても練習試合、公式戦となると打てないタイプでした」と言う。 土井監督は一計を案じ、野球の技術もさることながら人間力やコミュニケーション力を磨いていった。 「人に見られててもキョロキョロせんように。落ち着いて活躍できるような選手に。大切なのは、いろんな人に接し、人に慣れること。だから視察に来られた大学野球の監督さんらに、あえて野村に声を掛けてもらったりしました。2年目の冬を乗り越えてからメンタル面が変わってきて、それに比例して技術力もアップしてきました。通算20本の大半は今年に入ってのものですよ」