職歴も学歴もない?「アイドル」を辞めた子はどうするのか 元アイドルが解説する“就活事情”
昭和平成にくらべると、令和は「アイドル」があふれている時代といえる。それはすなわち、“卒業”して元アイドルになる女性たちも多いということ。10代から活躍してきた子ともなれば、職歴や学歴などで、一般人とは異なるキャリアを歩むことも珍しくない。華々しいステージを降りた彼女たちは、どんな第二の人生を歩んでいるのだろう。ライターの池守りぜね氏が取材した。 【写真】今とはイメージがガラリと変わる?アイドル時代の2人 ほか ***
「今、全国にアイドルは約一万人いると言われています」 そう語るのは、渋谷区区議会議員を務めながら、元アイドルの就職コンサルティングを手掛ける『ツギステ』代表取締役の橋本ゆきさん(31)だ。過去には「仮面女子」のメンバーとして、年に1,000回以上のライブをこなしてきた異色の経歴をお持ちだ。 同じく元・仮面女子の桜のどかさん(34)を取締役に迎え、昨年、『ツギステ』を起業した。桜さんはアイドルのカウンセリングをメインとして行いながら、営業や広報、人事業務などをすべて担当している。 お2人とも、もともとアイドル志望というわけではなかったが、ともに2010年に芸能界デビューし、橋本さんはおよそ9年、桜さんも8年、ステージで活動してきた。
「前職の業界」欄に入力できない
現役時代には、将来が不安になる場面に遭遇したこともあったという。 「私たちがショッピングモールでライブをしていたところに、先にグループを卒業をした元メンバーが、偶然通りかかったのです。ベビーカーで子どもを連れていた。その時、“アイドルを卒業した後も、人生は続くのだな……”って実感したんです」(橋本さん) これがツギステの原点なのかもしれない。実際、就職コンサルを始めると、 「30歳前後で、ライフステージを見据えて卒業を考えるアイドルが多いなと感じます」(同) まさに桜さんも、30歳を目前に卒業を決めたひとりだ。 「オリコン1位になったり(2015年発売シングル『元気種☆』)、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ(2015年11月23日)をさせていただいたりと、活動はやりきった実感がありました。アイドルになる前は、25歳くらいには結婚している人生設計を描いていたのですが、気づいたら30歳近くになっていました。それだけアイドル活動は充実していたのですが、当時は将来をまったく考えていなかった、というのが本音ですね……。女優もやりたかったけれど、本当にそれでいいのか、悩んでいました。当時、ツギステのようなサービスがあれば、もっと将来のことが気軽に相談ができた。同じように困っている子たちの助けになりたいなと思って、声を掛けられた時はすぐに即決しました」 昨今は事務所に所属せず、フリーランスアイドルとして活動する人も多い。次のキャリアを求める需要は高まっているのかもしれない。 「アイドルを卒業した方が就職サイトを見ても『前職の業界』欄に入力ができず、手が止まってしまう。なかなか次のステップにいけないのです。結局、バイトで暮らしていくしかないとなると、生活は厳しくなる。アイドルとして魅力的な部分がすごくあって、ファンを獲得して発信できてきた人なのだから、就職して営業や広報として活躍できる可能性が十分あるはずなんです」(橋本さん)