「先生、私は胃がんですね」 医師を驚かせた東ちづるの一言 「コース料理を食べられなくなる」と切除を拒否
重度の貧血状態で
「先生、私は胃がんですね。スキルス性じゃないですよね?」 胃の痛みから病院で胃カメラを飲み、生体検査をした結果、「なるべく早く来院ねがいます」と連絡が入ったとき、主治医に向かって開口一番、東ちづる(64)はそう質問した。(全4回の第2回) 【写真】「超美少女」だった幼少期、小学、中学、高校、短大時代…「お嫁さんにしたい」と言われた20代。東ちづる、デビュー当時の貴重ショットも ***
胃の痛みを感じながら、コロナ禍とあって医師の診察を控えていた2020年の秋、ジムでのトレーニングに向かおうと自宅を出た途端、立っていられないほど体調が悪くなった。何とか家に帰ったものの「顔がまっ白!」と夫が驚き慌てて病院へ行くと、胃カメラをのむことになり、そのまま緊急手術を受けた。 重度の貧血状態で、診断名は出血性胃潰瘍(かいよう)だった。医師からの連絡は、1週間の入院を終えて2日後のこと。生体検査に出した胃の組織も「99%良性です」と告げられていたが、すぐに東はがん告知を覚悟して単刀直入に、最も聞きにくいような事実確認を行ったのである。 「連絡を受けて、ピンと来たんです。『1%』がんの可能性があったんだって。約30年続けている骨髄バンクのボランティア活動や、血液のがんである白血病の患者さんとの関わりを通して2人に1人ががんになるのを知っていて、覚悟はしていたし、病名すらわからない難病と闘う方々の姿も見てきました。 幸い、私はPET検査でも見つけられない程度で、治療法もあるので、動揺はしませんでした。生きていれば病気や事故、事件など何が起こるか分からないでしょう。人生は理不尽なものだと思っていましたから。スキルス性ではないと確認したあと、先生から、胃の3分の1から半分を切除する手術を提案されたんですけど、それをしないとどうなるのか訊いていきました。私の体と人生ですからね」 医師の告知より先に患者が「がん」と口にするのは異例だった上、「ステージはどのくらいですか」など疑問をひとつずつ確認していく冷静さで医師を驚かせた。医師が患者に病気や容態、さらに治療の内容を患者が納得するまで説明し、患者が同意して治療を行うインフォームド・コンセントを、東も行った。医師との面談をスマホで録画し、そのままLINEで家族と共有し、経験者の話なども参考にして約2カ月、治療法を検討し自ら選択し決断を示した。