職歴も学歴もない?「アイドル」を辞めた子はどうするのか 元アイドルが解説する“就活事情”
元アイドルゆえの強み
元アイドルではないものの、最近も、辺見えみりさんがユナイテッドアローズ内のブランドプロデューサーを担当したり、片瀬那奈さんが衣料品通販サイトを扱う企業に就職したことがあった。つぶしが利かないと見られがちの芸能界出身でも、適所を見つけて活躍する好例だろう。 実際に、ツギステではどのような会社に就職できているのだろうか。 「アイドル時代の経験を活かしたSNSの運用代行企業や、女性ならではの感性が求められるファッションやコスメを扱う企業に就職されたケースがあります。不動産や観光業などに行かれたかたも。事業を始めてから1年間の間に、毎月2~3名ほどが内定を頂いています。ひとくくりにアイドルといっても一人一人に個性がありますから、希望する業種も違う。一番輝ける場所を提供するのが大切だと思っています。ご紹介する企業は弊社のコネクションで連携をさせていただいていますが、元アイドルのスキルや経験を期待しての求人ですので、ズレはありません。職種としては広報や営業などさまざまですが、色々なポジションで活躍されています」(桜さん) そんな“元アイドル”ならではの強みは、橋本さんも桜さんも卒業後に実感したという。 「議員の仕事をしていると、演説など大勢の前でお話しする機会がよくありますが、舞台慣れをしていたおかげで、スムーズにできます。アイドル活動中に、毎日、人前で話すことをしていたおかげなのでしょう」(橋本さん) 「人と話すことに抵抗がないです。握手会の経験から、人と30秒くらいお話すれば、その人がどういう人か、何を求めているかだいたいわかります。あとは365日ずっとライブ活動をしていたので、なんでも臨機応変に動けることも強みです」(桜さん)
弱みは「コピー機の使い方もわからない」?
一方で、こんな弱点(? )も……。 「話し方が“アイドル的”にならないように、日々気をつけています。また就労経験がないので、最初はコピー機の使い方もわかりませんでした。普通の社会人ができて当たり前のことができなかったんです」(橋本さん) 橋本さんは“東大受験アイドル”としてデビューし、その後も東京大学文学部を卒業した。これは稀なケースで、10代からアイドル活動をしてきた方では、学業に時間を割けなかったことが珍しくない。 「私もアイドルしかやってこなかったので、学歴がないです。今はいろいろな経営者の方とお話する機会が増えたのですが、最初は知らない用語が多くて、ついていくのに必死でした」(桜さん) 突出した強みと引き換えに、いわゆる“普通の”キャリアを歩んできた人材が持つスキルにはやや欠けている、というのが元アイドルの特徴といえるかもしれない。 もっとも、大手転職サイトによると、一般的に再就職が決まる期間はおおよそ三か月。これと比べて元アイドルの就職が劣っているということは、決してない。 「平均すると三か月から半年くらいで就職が決まる人が多いですが、早い方だと一か月半ほどで決まることもあります。やりたい、働きたいと燃える企業にマッチングした時が、私たちの喜びですね。企業から内定のご連絡を頂いた時は、メールなどではなく、できるだけ電話でお伝えするようにしています。内定を伝えた時の反応を聞くのが、一番嬉しいです」(桜さん)