「東洋の宝石」ヒスイ活用、日本が最古級…第76回正倉院展出展の勾玉にも
糸魚川産
正倉院展に出展されている宝物「金銅杏葉形裁文」は金銅板8枚が連なり、計28個の勾玉がつるされている。奈良時代にはほとんど勾玉は製作されないことから、古墳時代に作られた物が活用されたとみられる。 このうち10個は、白や緑色のヒスイ製で、エックス線などによる調査の結果、新潟県糸魚川市周辺で採れたものだと推定された。 同市は国内屈指の産地で、その歴史は縄文時代に遡る。大角地(おがくち)遺跡からは、ハンマーのように使ったとみられるヒスイが、長者ケ原遺跡からは、ペンダントの飾りに使われたとみられるヒスイが、それぞれ見つかった。小河原学芸員は「国内の遺跡で出土しているヒスイの全てが糸魚川産とみられる」と話す。 ヒスイは中・南米のマヤ文明、アステカ文明で装飾品などに使われ、近代の中国でも美術品などとして重宝される。ただ、その歴史は日本が「最古級」で、縄文時代から奈良時代にかけて広く使われ、朝鮮半島にももたらされたとされる。 日本鉱物科学会は2016年、ヒスイを「国石」に選定し、PRに力を注ぐ。会長を務める広島大の井上徹教授は「ヒスイは知名度が高く、科学や文化史の観点からも世界に誇れる」とした上で、「国内には他にも貴重な石がたくさんある。ヒスイをきっかけに、石への興味が広がってほしい」と話した。