トランスジェンダーモデルの矢神サラ、性別適合手術の苦しみ語る「2度の手術でも、終わりはない」
◆ネットにない情報を新宿二丁目で集め、23歳の時にタイで性別適合手術へ
――10代からホルモン治療を行っていたとのことですが、何歳くらいからですか? 【矢神サラ】 19歳からです。体が成長過程にある中、早ければ早い方が良いと言われる治療なので。アメリカでは未成年へのホルモン治療を推奨していますが、その影響による気分のアップダウンがあるので、精神的に不安定な年頃の未成年への治療には賛否があります。確かに心の揺らぎがある思春期に、性別に悩む子どもが自分で決めるのは難しい。 一方、体は成長していくので、若いうちに始めることは後々のプラスになります。諸説ありますが、10代までに一次成長、二次成長があり、その後、20歳を超えてからも成長し、どんどん体が男性化していくと聞きます。30代になってから治療を始めても、成長しきったそれまでの体系があるので、やっぱり見た目は男性らしさが残ります。 ――心と体の性別を一致させ、女性として生きていくために「性別適合手術を受けよう」と決意したのは何歳頃ですか? 【矢神サラ】 20歳前後です。自分の性別と向き合った時に、男性の体で生き続けるのが、私にとっては理解しがたいことだったので。いろいろ調べて、痛そうだし、怖いし、海外での手術なのでお金もかかる…考えることはたくさんあるけれど、「絶対に手術を受ける」と心は決まっていました。ホルモン治療は、体を女性化することはできるのですが、私は“女性の体”で男性に愛されたいという気持ちが強くありました。妥協して愛されたくないとうか、女性と同じ土俵に立って戦いたいというのもありました。だから、一刻も早く性転換手術をしたいと思って、23歳の時にタイで手術を受けました。 ――手術方法や病院選びなど、情報はどうやって得たのでしょうか? 【矢神サラ】 ネットにも情報が少なかったので、新宿2丁目のニューハーフやトランスジェンダーの先輩から話を聞き、手術を受けた人を紹介してもらい、病院や費用、手術内容について細かく調べました。そうやっていろいろ教えていただいた結果、タイの病院で受けることにしました。手術費用はトータルで約300万円。ただ、年々上がっているので、いまのレートでは350万円ほどですかね。 ――性別適合手術後は、壮絶な痛みがあると聞きます。 【矢神サラ】 もちろん痛いし、しんどくて、苦しい。できればやりたくないけれど、私の生きるモチベーションのひとつである恋愛において、体も女性にしたいと思いました。痛いのは皆わかっていることなので、それでも自分の見え方を変えたい、手術にポジティブになれるかどうかですね。手術を推奨しているわけではありませんが、私自身の経験からがんばった方がいいと思っています。