トランスジェンダーモデルの矢神サラ、性別適合手術の苦しみ語る「2度の手術でも、終わりはない」
◆昼はアパレル会社勤務、夜はショーパブで手術費用の捻出も…「ひげガール」での日々がいまの礎に
――費用的にも大きな負担ですね。 【矢神サラ】 基本的に社会的弱者のニューハーフはお金がない。だから、その費用を捻出するために多くの人は、夜の仕事場で働いています。私は当時、昼はアパレルの会社で働きながら、夜は歌舞伎町の「ひげガール」という有名なショーパブでダブルワークをしていました。 ――そこでの辛いことはありましたか? 【矢神サラ】 お客様や先輩が怖いというのはありました(笑)。想像もつかないような体験が日々続きましたが、なんとか切り抜けられた感じですかね。テレビなどでも活躍するトランスジェンダーとしてのロールモデルのような美しい方もいます。ただ、ゲイバーやニューハーフの子が働く夜のお店は、水商売の中でかなり賃金が低いことが多いんです。一般的な女性が働くキャバクラと比べると、時給が5分の1くらい。なかなかお金が貯まらないので、本当に辛かったです。最終的には、お母さんにお金を借りて、手術しました。 ――そこでの人生の学びはありましたか? 【矢神サラ】 日常のコミュニケーション能力に長けた人たちばかりなので、人を楽しませることや喜ばせることなど、トーク力はすべてそこで学びました。お酒を飲むと人間関係の距離がすごく縮まることも含めて、勉強になりましたし、それがいまの礎になっています。 (文/武井保之)